東日本大震災後の日台関係では、台湾の自治体と姉妹都市や友好交流都市などの都市間提携を結ぶ自治体が急増していますが、さらに注目すべきことが起こっています。それは修学旅行先に台湾を訪れる高校や中学校も急増していることです。
文部科学省が昭和61年(1986年)から2年ごとに発表している調査「高等学校等における国際交流等の状況について」によりますと、本年4月8日に発表した2013年度調査では、台湾へは2万29人(140校)となっています。これは、アメリカの3万5,168人(260校)、シンガポールの2万3,571人(167校)に続く3位に躍進しています。
そこで、本会の「片倉佳史さんと行く台湾200%満喫の旅」でおなじみの台湾在住の作家、片倉佳史(かたくら・よしふみ)さんと夫人の片倉真理(かたくら・まり)さんが、台湾を訪れる若者に言葉や基本情報を知ってもらいたいと台北市に提案、去る11月11日、台北市政府観光伝播局が日本語の観光案内冊子『高校生・大学生のための台北満喫ハンドブック』を作成しました。
NHKもニュースで取り上げ下記のように伝えています。
<A5版のサイズのガイドブックは、台湾の歴史などを日本語で紹介しているほか、日本の修学旅行生が現地の生徒とコミュニケーションを図る際に役立ててもらおうと、「気持ち」や「文化」、それに「趣味」などに関する簡単な中国語の会話や単語が全体の半分近くにわたってまとめられています。(中略)
台湾では、日本を訪れる人が急速に増えているのに対し、日本からの旅行者の数は大きく下回る状態が続いています。しかし、日本からの修学旅行生は年々増えていて、関係者によりますと、今年度は初めて3万人に達する見通しだということです。(中略)
ガイドブックの作成に協力した作家の片倉佳史さんは「この冊子を手に台湾の街を歩くなどして、交流に役立ててほしい」と話していました。>
NHKニュースが伝えるように、日本からの修学旅行生は年々増えていて「今年度は初めて3万人に達する見通し」ということですが、10年前ならこれほどの盛況は予想できない状況でした。
ちなみに、先に紹介した文科省の調査で台湾が出てくるのは2004年度からで、そのときは1,108人(16校)でしたが、9年後の2013年度は2万829人(140校)と約19倍にもなっています。それが今年度は3万人に達する見込みだというのですから、嬉しいことです。
文科省の昨年5月の公表によりますと、高校生の総数は332万4,615人、高校数は6,789校。このうち、2013年度に外国への修学旅行を実施した高校生は16万8,668人(1,300校)ですから、台湾への修学旅行は生徒数で1.6%になります。まだまだ糊代は大きいようで、自治体の姉妹都市同様、今後に期待したいものです。
一方、台湾から日本への修学旅行は、2013年度は1万1,382人(310校)で断トツの1位。2位韓国の 5,567人(193校)の2倍、3位アメリカの2,922人(223校)の約4倍も来日しています。
2013年度に外国から教育旅行で日本を訪れた高校生は2万8,663人(1,315校)でしたから、台湾からは39.7%にも及んでいます。台湾からは9年前の2004年度の場合、2,484人(45校)でしたから、隔世の感があります。
台湾の教育処(文部科学省に相当)が発表している2014年度の普通高校と職業高校を合わせた高校生総数は日本の約4分の1の81万8,869人で、学校数は普通高校と職業高校を合わせて503校。学校数からしますと、なんと61.6%の高校が修学旅行で日本に来ているのです。
日台の将来をになう高校生たちが修学旅行を通じて知り合うことで、ますますその絆は強まります。また、修学旅行はほぼ学年単位で行われているようですから、空港の利用率や飛行機の搭乗率も上がります。
現在、空港の利用率や飛行機の搭乗率を上げようと懸命に取り組んでいる地方自治体が多く、チャーター便を飛ばしたい、チャーター便から定期便にしたいといろいろ模索しているようです。その点でも、台湾への修学旅行は打ってつけの妙薬。すぐに経済効果が上がる特効薬と言ってもいいかもしれません。