台湾の未来を切り拓く総統選挙と立法委員選挙の投開票の1月16日を目前にした1月11日、ジャーナリストの池上彰氏がテレビ東京の「未来世紀ジパング」で、この総統選挙に立候補している民進党候補の蔡英文氏や中国国民党候補の朱立倫氏へのインタビューを織り込んで「知っているようで知らない台湾」を放映する。
番組では、リノベーションされた「林百貨店」、昭和16年の全国高校ラグビー選手権(今の花園大会)で優勝した現在の建国高級中学、八田與一、そして蔡英文、朱立倫両候補者へのインタビューや「ひまわり学生運動」も取り上げるという。
「ひまわり学生運動」では、昨年3月30日のデモについて「参加者は最終的に50万人に膨れ上がった運動」と紹介するという。当時、台湾の警察発表は「11万人超」、学生たちが発表したのは「約50万人」。この番組では学生たちの発表数を使っているようだ。
こういうささいなことに番組のスタンスが現れているのかもしれない。どのように台湾を紹介しているのか、おおいに興味をかき立てられる。楽しみである。
・放映日:2016年1月11日(月・祝) 22時~23時24分
・テレビ東京「未来世紀ジパング 池上彰SP 知っているようで知らない台湾」
◆池上彰SP 知っているようで知らない台湾
この年末年始、海外の旅行先で一番人気だったのが、台湾。
日本人にとって、それだけ身近な台湾だが、知っているようで知らないことにあふれている。一つが、中国との関係。今、台湾のリーダーを決める4年に一度の総統選の真っただ中で、住民を二分する戦いが繰り広げられている。その最大の争点が、『中国との距離』なのだ。
そして二つ目が、日本との関係。今、なぜか日本統治時代の家屋の復元など、当時の文化を再評価するのがブーム。これは何を意味しているのだろうか?
近いのに日本人が今一つ知らない「台湾」の歴史と実像を、池上彰が徹底解説する。
・人気旅行先ナンバーワン! “レトロ日本”が沸騰
今年、日本人の“年末年始・海外旅行先ランキング”で、台湾が1位となった。その理由は、「食べ物が美味しい」「とにかく安い」「ヨーロッパが怖い」など。そんな中、台湾ではいま、定番の夜市に加え、新たな観光開発が急スピードで進んでいる。注目を集めるのが「林百貨店」。5階建て全フロアで台湾伝統の雑貨を販売している。84年前、日本統治時代に山口県の実業家・林方一氏が作った林百貨店。終戦後ずっと放置されていたビルを、去年リノベーションし、新たに生まれ変わった。
さらに最近では、台湾全土に眠る日本統治時代の建物を検索できるアプリも登場。グーグルマップと連動し、自分がいる位置の近くにどんな建物があるか教えてくれる。観光面で、にわかに注目を集める日本統治時代。一体なぜなのか?
・今なぜ? 再評価される統治時代…知られざる秘話
台湾一の名門高校、建国高級中学。このラグビー部には知られざる伝説がある。昭和16年、全国高校ラグビー選手権(今の花園大会)で優勝を遂げたのだ。それは、日本の植民地だった台湾にとって、大ニュースだった。当時、建国高校には日本人と台湾人が共学で学んでおり、同じラグビー部で共に汗を流していた。92歳の証言者が語る、日本人と台湾人の友情秘話とは…?
一方、統治時代を語る上で欠かせない人がもう一人いる。彼の名は八田與一。台湾に、当時世界最大となるダムを造り、荒地を一大穀倉地帯に変えた人物だ。台湾でかつては伏せられてきた八田與一の業績について近年、再評価が始まり、学校の教科書に八田の功績が描かれるようになった。
・住民真っ二つの総統選挙! どうなる?…中国との距離
1月16日に行われる総統選挙に向けて、今、台湾全土で激しい選挙運動が行われている。 中国との関係を重視する国民党と、中国とは一定の距離を置く民進党の戦いだ。市民の意見は真っ二つに割れ、街のあちこちでいざこざが起きている。
国民党支持層「今、台湾は中国経済に完全に依存している。経済的に独立なんて無理」
民進党支持層「このままだと、台湾は中国に飲み込まれてしまう。」
そんな中、秋元が、総統選の候補者である国民党・朱立倫主席と、民進党・蔡英文主席に直撃インタビュー。彼らの口から語られる、台中関係の未来とは?
・台風の目…“怒れる若者”
2014年に起きた学生による立法院占拠事件“ひまわり運動”を機に、台湾では若者たちの怒りが注目を集めている。中国との自由貿易サービス協定を進める政府に抗議し、若者が立ち上がり、参加者は最終的に50万人に膨れ上がった運動だ。台湾では今、資本も雇用も中国に流れ、若者は仕事がなく、経済格差に苦しんでいる。彼らは、中国との距離を縮めようとする国民党はおろか、民進党にもNOを突きつけていた。そこで若者たちによる新たな動きが起こった。その行方とは!?