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実際に発見された聖徳太子の一万円札(蘋果日報の報道より)

2月19日午前、桃園国際空港から出国予定の日本人男性が、一億円以上の現金を未申告で持ち出そうとしたため没収された。現金はすべて日本円で、聖徳太子が描かれた旧一万円紙幣。すべて未使用の新券だったという。

台湾での報道によれば、この男性は神谷勝己氏(48歳)。午前11時35分発のチャイナエアラインCI703便でマニラへ向かう予定だったという。搭乗前の保安検査の際、職員がスーツケースいっぱいに詰められた現金を発見して神谷氏から事情を聴いた。

台湾中央銀行の検査によれば、持ち出そうとした金額は総額1億1,900万円。台湾では法律によって無申告で国外に持ち出し出来る現金は1万米ドル(日本円でおよそ110万円)までと決められており、超過分はすべて没収される。今回の没収金額は桃園空港の開業37年来で最高記録だという。

ただ、日本交流協会(大使館に相当)の職員による簡易検査では、2年前に同じく税関検査で発見された旧紙幣の偽札と類似している部分があると指摘されており、日本銀行や金融機関の協力も仰いでさらに精密な検査を行う予定。検査によって紙幣が真札だと認められれば、無申告で持ち出しできる上限の1万米ドルが神谷氏に返還されるが、残りはすべて台湾の国庫に納入される。偽札と判明すればもちろん御用となる。

航空警察局によれば、神谷氏はこの現金について、台湾で友人から託されたもので、フィリピンのマニラで真贋を含め、価値を鑑定するためだったと話しているが、預けた人物や現金の出処など詳細については口を閉ざしているという。また、刑事局国際科は国外へ持ち出そうとした目的について、フィリピンで真札と交換して使うつもりだったのだろうと話している。

このニュースが報じられると、ネット上では1968年12月に東京で発生した三億円事件との関連が指摘されたが、関連性は低いとみられている。

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根拠不明の運動には軽々しく署名しないよう注意(クリックすると拡大します)

また、台湾では1972年の日華断交時に「手切れ金」や「断交の際の交渉資金」として多額の日本円が台湾に送られたものの、使われずに国民党の金庫で眠っている、などといった都市伝説があり、台湾版「M資金(GHQが占領下の日本で接収した財産などを基に、現在も極秘に運用されていると噂される秘密資金)」と呼ばれることもある。こうした秘密資金などと呼ばれるものにはつきものの詐欺も横行しており、注意が必要だ。

つい最近も、「日華断交時に国民党が受け取った巨額の資金を、日本の皇室に返還する運動をしているため署名してほしい」「李登輝総統にも返還運動を支持してほしい」などという根拠不明の運動を行っている詹某という輩が日本人から署名を集めて李登輝総統事務所へ送るなどしており、関係者の間で注意を促す情報共有がなされたことがあった。

【台湾国内での報道を受け、本会台北事務所でまとめたものです】