本会HP上やメールマガジン『日台共栄』などで先にお伝えしたように、1947年の228事件では日本人も犠牲になっており、沖縄県浦添市の青山恵昭(あおやま・けいしょう)氏の父で、当時38歳だった青山恵先(あおやま・えさき)氏が台湾から出征して日本に復員後の47年3月、基隆に家族を捜しに行った際に事件に巻き込まれて犠牲となっていた。
遺族の青山恵昭氏が台湾当局に損害賠償を求めた訴訟で、台北高等行政法院(裁判所)は被告の財団法人「二二八事件記念基金会」に600万台湾ドル(約2017万円)を支払うよう命じ、「二二八事件記念基金会」はこの判決を受け入れ、控訴しないと発表した。228事件で外国人への賠償が認められるのは初めてだという。
沖縄には青山氏のほかにも3人の被害が調査で判明しているといい、地元紙の琉球新報は「判決でも青山さんの被害認定と同列に扱っている。3人の遺族は基金会へ補償申請する準備を進めており、台湾側の対応が注目される」と伝えている。下記に紹介したい。
本日は228事件が起こってから69年目のその日。台湾でも日本でも関連した催しが開かれている。
228事件、青山さん勝訴確定へ 台湾政府が上訴断念
【琉球新報:2016年2月25日】
台湾の国民党政権が住民多数を殺害した1947年の「228事件」で日本人漁師の父を失った青山恵昭さん(72)=浦添市=に対し、台北高等行政法院(裁判所)が損害賠償600万台湾元(約2千万円)を支払うよう台湾政府に命じた判決に関し、台湾政府は24日、上訴しないことを決めた。事件の真相究明や賠償などに関して政府の委託を受けた財団法人「228事件紀念基金会」が同日、臨時の理事会で多数決で決定した。台湾政府が25日に上訴しないことを裁判所に伝え、青山さんの勝訴が確定する。同事件で外国人への賠償が認められるのは初めて。
台湾政府は、元日本兵の台湾人や台湾人元慰安婦に対する日本政府の補償が不十分であることなどを理由に、原告の青山さんの訴えを退けるよう裁判で主張していたが、台北高等行政法院は18日、青山さんの父、恵先さんを事件の失踪者と認めた以上、政府は賠償に応じるべきだと命じた。
基金会は、戦争中の慰安婦などに対する補償に日本政府が応じていないとして、一部理事が上訴断念に反対したことなどを受け、日本政府に慰安婦などへの賠償を求めていくという。
同事件では青山さんのほか県人3人の被害が調査で判明しており、判決でも青山さんの被害認定と同列に扱っている。3人の遺族は基金会へ補償申請する準備を進めており、台湾側の対応が注目される。
青山さんは「完全勝利だ。ほかの3人も続くので、対応を期待したい」と話した。
「台湾228事件真実を求める沖縄の会」顧問の又吉盛清沖縄大客員教授は「台湾の民主化が成熟したことが背景にある。台湾の民衆自身が戦後処理を受け止めるという基盤があって、上訴しないという判断が出た。お金の問題ではない。正義や人権という観点から、台湾の評価は高まるだろう」と話した。