外交部長に内定が報じられた李大維氏

先日は台湾紙・蘋果日報が謝長廷紙の駐日代表内定をスクープとして報じたが、続々と蔡英文・新政権の人事内定情報がメディアを通じて漏れ伝わって来ている。

26日付の台湾紙・自由時報は、新政権の外交部長(外務大臣)に現在駐オーストラリア代表を務める李大維氏が内定したと報じた。複数の消息筋から確認しているという。

李氏は 山東省出身で1949年生まれの66歳。台湾大学政治学系卒業後、米バージニア大学で外交学修士号と博士号を取得。これまで駐米代表、駐カナダ代表、駐ユーロ兼ベルギー代表のほか、北米事務協調委員会主任委員を務めた。

北米事務協調委員会は外交関係のない米国との外交窓口を担う機関で、対日外交の窓口である亜東関係協会に相当し、主任委員は秘書長職にあたる。つまり対米外交の事務方トップを務めたことになる。昨年1月からは駐オーストラリア代表を務めている。

李氏は国民党籍の職業外交官といわれるものの、国民党と民進党の双方と良好な関係を築いており、2000年からの8年間の民進党政権下でも駐米代表や駐ユーロ代表を務めた。そのため、民進党内からも評価は高く、党派に縛られない外交政策が期待されている。

関係者によると、この人事はすでに米国にも打診して同意を得ているとされ、駐米代表の任期中(2004年〜2007年)、米国との太いパイプを築いたため、特に通知したものだという。

これまで台湾の外交は日米欧に重点が置かれていた。しかし、蔡英文・新総統は選挙期間中の公約で「新南進政策」を掲げ、これまで台湾企業による東南アジアへの投資を促すのが主だった南進政策をより多元化、多面化しなければならないと主張した。そのため、ASEAN諸国やインドなど、アジア全体との関係強化が李大維氏に課せられた外交の責任だ。

【3月26日付の台湾紙・自由時報を本会事務局で翻訳、まとめたものです】