20160502-02本会主催の日本李登輝学校台湾研修団でも講師を務めていただいたジャーナリストの駱文森氏が逝去された。享年83歳。

1932年(昭和7年)、日本時代の基隆生まれ。基隆中学在学中に敗戦を迎え、基隆港に上陸する国民党軍を出迎えた経験もある。船から降りてきた兵隊たちは天秤棒を担ぎ、着の身着のままでやってきたのを自分の目で目撃したと語っていた。

子供の頃から新聞に関心があったという駱さんは、大学で新聞学を学び、首都早報や自由時報の記者を歴任。その卓越した日本語と誠実な人柄を買われ、日中国交樹立によって朝日新聞が台北支局を廃止した後も、通信員として台湾報道を担当。朝日新聞が台北支局を再開設すると顧問として携わった。

日本時代から戦後の混乱期、戒厳令下の台湾、民主化後の台湾を生きぬいて来た駱氏には、日本李登輝学校台湾研修団でも何度か講師としてお招きし、戦後のジャーナリズム史を講義していただいたこともある。

また、上坂冬子氏が李登輝総統夫妻の来し方を描いた『虎口の総統 李登輝とその妻』や、李登輝総統と中嶋嶺雄氏の共著『アジアの知略』の中国語版は駱氏の手による翻訳だ。

蔡英文政権の発足をご覧になれなかったのは残念だが、今後も台湾のことを見守っていただきたい。ご冥福をお祈りします。