5月23日、岩手県の第三セクターのIGRいわて銀河鉄道(盛岡市)と三陸鉄道(宮古市)は台湾の台湾鉄路管理局が運営する台中線と海岸線との間で6月1日に姉妹鉄道協定を締結することを発表した。地元紙の岩手日報が伝えているので下記に紹介したい。
締結に至る経過について、日本経済新聞(5月25日付)は「IGRは2014年度から台鉄を組み入れた旅行商品を企画販売。その実績を背景に協定の交渉を進めたところ、台鉄から『東日本大震災の復興支援に協力したい』との申し出があり、大きな被害があった沿岸地域を走る三鉄も加わった」と報じている。
本会では、HPやメールマガジン「日台共栄」誌上などで、日台の鉄道提携が2013年から頻繁に結ばれていることをお伝えしてきている。
1986年1月の大井川鐵道と阿里山森林鉄道の姉妹鉄道提携を嚆矢として、本年3月15日の江ノ島電鉄と台湾鉄路管理局の友好鉄道協定に至るまで19件に及ぶが、下記の一覧に示すように、大井川鐵道と阿里山森林鉄道以外の18件はすべて2013年以降に結ばれたものだ。
いわて銀河鉄道と台中線、三陸鉄道と海岸線の姉妹鉄道協定を締結により、日台鉄道提携は21件となる。
6月1日の締結式は台鉄台北駅で予定され、岩手県からは5月29日から6月2日にかけてミッション団として訪台してトップセールスを行う達増拓也(たっそ・たくや)知事、いわて銀河鉄道の菊池正佳社長、三陸鉄道の望月正彦社長など、台湾側は周永暉・台鉄局長、林佳龍・台中市長、頼瑟珍・台湾観光協会長らが出席する予定だという。心からお祝い申し上げます。
ちなみに、岩手県からのミッション団は、上田東一・花巻市長や青木幸保・平泉町長ら県内の関係首長や商工、観光団体の関係者ら約60人で構成。中華航空や台湾政府関係機関を訪問するほか、現地で開かれている岩手観光物産フェアも視察。中華航空や現地の旅行会社の関係者を招いて観光交流レセプションも開催する(日本経済新聞)。
1)1986年01月25日 大井川鐵道と阿里山森林鉄道が姉妹鉄道提携
2)2013年04月20日 黒部峡谷鉄道と阿里山森林鉄道が姉妹提携
3)2013年04月23日 江ノ電と平渓線が観光連携協定
4)2013年10月13日 JR四国の松山駅と台湾鉄道の松山駅が姉妹駅提携
5)2014年04月30日 秋田の鳥海山ろく線(由利高原鉄道)と平渓線が姉妹鉄道協定
6)2014年10月28日 千葉のいすみ線と集集線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定
7)2014年12月22日 山陽電鉄と宜蘭線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定
8)2014年12月22日 山陽電鉄の亀山駅と宜蘭線(台湾鉄道)の亀山駅が姉妹駅提携
9)2015年02月12日 東京駅と新竹駅が姉妹駅提携
10)2015年02月26日 京浜急行電鉄と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
11)2015年03月14日 西武ホールディングスと台湾鉄路管理局が友好協定を締結
12)2015年03月14日 西武鉄道が台湾鉄路管理局と姉妹鉄道協定を締結
13)2015年09月04日 長良川鉄道と内湾線が姉妹鉄道協定を締結
14)2015年12月04日 大阪駅と台北駅が姉妹駅を締結
15)2015年12月18日 東武鉄道と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
16)2015年12月21日 山陽電鉄と台湾鉄路管理局が観光連携協定を締結
17)2016年01月21日 鉄道総合技術研究所と台湾鉄道が技術協力協定を締結
18)2016年02月25日 JR四国と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
19)2016年03月15日 江ノ島電鉄と台湾鉄路管理局が友好鉄道協定を締結
20)2016年06月01日 いわて銀河鉄道と台中線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定を締結(予定)
21)2016年06月01日 三陸鉄道と海岸線(台湾鉄道)が姉妹鉄道協定を締結(予定)
IGRと三鉄が台鉄と姉妹協定へ 互いに観光PR
【岩手日報:2016年5月24日】
IGRいわて銀河鉄道(菊池正佳社長)と三陸鉄道(望月正彦社長)は23日、台湾政府の台湾鉄路管理局(台鉄)が運営する在来線の2路線と姉妹鉄道協定を結ぶと発表した。IGRと三鉄が国外の鉄道と姉妹協定を結ぶのは初めて。互いの鉄道を利用した観光旅行の発信に取り組む方向で、本県と台湾の交流拡大に弾みがつきそうだ。
協定の対象路線はIGRと台鉄の台中線、三鉄は海岸線で、ともに台湾中西部を南北に走る。締結式は6月1日、台鉄台北駅で予定され、本県側は達増知事と菊池、望月両社長、台湾側は周永暉(しゅう・えいき)台鉄局長、林佳龍(りん・かりゅう)台中市長、頼瑟珍(らい・そちん)台湾観光協会長らが出席する。
締結後、鉄道3者は自らの沿線から相手地域への誘客促進やグッズ、チケットの相互販売などに共同で取り組むことを予定している。
協定はIGRが台鉄利用を組み入れた台湾旅行商品を企画販売してきた縁で持ち上がり、台鉄の「復興支援に協力したい」との希望もあり、三鉄に参加を呼び掛けた。IGRによると、現在の同社と台中線の鉄路は明治時代、日本の同じ技術者が携わった共通点もある。