今も昔も台湾を代表する進学女子校といえば、緑の制服がシンボルマークの台北第一女子高(北一女)だ。日本時代の台北第一高女を前身とし、時には台湾大学への進学者数で男子校の名門である建国高中を上回ることもある。
蔡英文総統の母校、中山女高もその前身は日本時代の台北第三高女で、北一女に次ぐ進学校とされているが、ことに政治の世界においてはその順位は逆転するようだ。
1996年の総統直接選挙以降、李登輝総統夫人の李曽文恵さん、陳水扁夫人の呉淑珍さんと二代続けてファーストレディを輩出し、今年はついに台湾初の女性総統を誕生させた。ちなみに馬英九前総統夫人の周美青さんは北一女の出身。
蔡総統は6月2日に行われた中山女高の卒業式に来賓として出席。スピーチでは高校入学時の思い出などをユーモアを交えて語った。
「中学三年生のときでした。母は私をある高校に連れて行って『あなたもお姉ちゃんと同じようにこの学校へ行くのよ』と言いました。緑の制服の学校(北一女のこと)です。
ところが、統一試験では2点足りなかったためにその学校に合格することが出来ませんでした。卒業式のときも、母は出席してくれませんでした。
それから長い年月が経った今年の初め、母は私にこう言ったのです。『あのとき緑の制服を着られなかった娘が総統になるなんてビックリだ』と。
どうか後輩の皆さん、勇敢かつ優しく、そして未来を見据えた気持ちを持った女性になってください」