9月17日、朝日新聞の「私の視点」は、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表の寄稿「台湾の航空会議参加 旅行者の安全に不可欠」を掲載した。
謝代表は「航空機の安全な飛行に国境はない。航空の安全の秩序ある発展を目指すICAOは、排他性を持つものであってはならない。……国際社会の一員である台湾は、地域の飛行安全を守り、世界の民間航空の発展と人類の福祉のために力を発揮する責務がある」と力説する。
全国の地方議会議員で作る「全国日台友好議員協議会」は9月4日に和歌山市内で開いた「日台交流サミットin和歌山」において、国際民間航空機関(ICAO:International Civil AviationOrganization イカオ)等の国際組織への台湾の参加支持を表明している。
医療と同じように「航空機の安全な飛行に国境はない」。外務省によれば、ICAO設立目的は「国際民間航空が安全にかつ整然と発達するように、また、国際航空運送業務が機会均等主義に基づいて健全かつ経済的に運営されるように各国の協力を図ること」だという。台湾は、議長招待の特別ゲストなどではなく、正式加盟してもらいたいものだ。
ちなみに、代表処のホームページによると、謝代表が6月9日付で着任して以来、新聞への寄稿は、世界日報への寄稿「南シナ海の平和には対等な話し合いを」(2016年8月2日)を嚆矢として、今回が2回目だという。
また、2012年5月から代表をつとめた沈斯淳・前代表は、代表就任4年間で5本の寄稿だというから、謝代表の積極性がこのようなところから垣間見えるようだ。
なお、朝日新聞は謝代表のほぼ半月前の9月1日、程永華・駐日中国大使の「G20杭州サミット成長へ、中日は協力強化を」という寄稿を「私の視点」に掲載している。
台湾の航空会議参加 旅行者の安全に不可欠 謝長廷
【朝日新聞:2016年9月17日「私の視点」】
国際民間航空機関(ICAO)は27日から3年に一度の総会をカナダ・モントリオールで開催する。国連加盟国ではない台湾は、ICAOにも正式加盟していないが、グローバル化が進む飛行安全に貢献するため、前回(2013年)総会に「ゲスト」として「チャイニーズタイペイ」名義で初参加した。今回も総会に参加するため、申請書をICAOに提出しており、適切な名義で、関連規定を順守して参加することを望んでいる。ただ、開催まで10日余りとなったが、今なお招待状が届いていない。予定通り参加できることを信じ、努力し続けている。
台湾は、40年余りにわたってICAOと直接連絡を取り合えるチャンネルがなく、間接的、一方的にICAOからの民間航空の安全、航空管制、保安、環境保護などの規定や基準を通知されるのみであった。そのため、台湾は航空安全やサービス水準を維持するための情報取得や意思疎通に困難が伴う中、国際標準に合わせるための努力を重ねてきた。
台湾民航局は、「台北飛行情報区」(台北FIR)を管轄している。台北FIRは福岡、上海、香港、マニラの各FIRと接しており、東アジアで最も混雑する民間航空域の一つである。昨年には台北FIRを飛行するのべ153万機の管制サービスを行い、台湾に離着陸または経由した旅客数は5800万人余りに達した。台日間には毎週約700便、台湾海峡両岸間も毎週約700便の航空機が往来しており、各航空会社は台湾に計301路線もの定期旅客路線および貨物路線を運航し、世界135都市を結んでいる。
航空機の安全な飛行に国境はない。航空の安全の秩序ある発展を目指すICAOは、排他性を持つものであってはならない。ICAO総会で話し合われる飛行安全、航空サービス、保安、環境保護、航空経済といった重要テーマは相互に関連し合っており、各国の緊密な協力が必要である。国際社会の一員である台湾は、地域の飛行安全を守り、世界の民間航空の発展と人類の福祉のために
力を発揮する責務がある。
台湾のICAO参加は、地理的に重要な位置にあり、東アジアの航空管制業務で大事な役割を担っている台北FIRの安全強化にプラスとなる。台湾を離着陸または経由する6千万人近い旅行者のさらなる安全向上につながるだけでなく、台湾の経験を各国の当局と分かち合うことで、世界じゅうの旅行者の安全にも寄与するものだ。ICAO総会および関連活動への台湾の適切かつ持続的な参加に対して、日本国民のご理解および引き続き日本政府のご支持が得られることを願っている。(シエチャンティン 台北駐日経済文化代表処代表〈台湾の駐日代表〉)