本会が12月23日に開催する「日台共栄の夕べ」の講師としてご講演いただくノンフィクション作家の門田隆将(かどた・りゅうしょう)氏が、2・28事件で犠牲となった弁護士、湯徳章氏(日本名:坂井徳章)の軌跡を中心に描いた新刊『汝、ふたつの故国に殉ず―台湾で「英雄」となったある日本人の物語』が本日、日台同時発売された。
この本の日本の版元はKADOKAWA、台湾の版元は玉山社出版。玉山社出版は盧千恵著『フォルモサ便り』や王明理著『詩集 故郷のひまわり』の版元として知られる。
このほどKADOKAWAがホームページで『汝、ふたつの故国に殉ず』が発売されたことを明らかにした。下記にその全文をご紹介したい。
「日台共栄の夕べ」ではこの新刊を定価よりもお安くご案内し、お求めになった方には門田氏がもれなくサインをされる。本会では、「日台共栄の夕べ」にご参加いただけない方のためにも、本書を本会取扱い図書としてご案内する予定だ。
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門田隆将、渾身の最新作登場!
『汝、ふたつの故国に殉ず ―台湾で「英雄」となったある日本人の物語』
定 価:1944円(本体1800円+税)
発売日:2016年12月10日
台湾で、その命日が「正義と勇気の日」に制定された日本人がいた――。日本と台湾の絆を表す「英雄」が歩んだ苦難と感動の物語。史上初の「日台」同時発売ノンフィクション!
1895年、ひとりの若者が台湾を目指して故郷・熊本をあとにした。台湾の治安維持と発展に尽くすためである。やがて台湾女性と家庭を築いた彼は、のちに「英雄」と呼ばれる男の子をもうけた。しかし、戦後の台湾の悲劇は、一家を動乱に巻き込んでいく。日本と台湾の“絆”を表わす「5代120年」にわたる壮大な一族の物語――。
「私には大和魂の血が流れている」「台湾人、万歳!」。台湾最大の悲劇となった1947年の「二二八事件」で、そう叫んで、永遠の眠りについた英雄がいた。坂井徳章弁護士(台湾名・湯徳章)である。父親は日本人、母親は台湾人で、生まれながらにして日本と台湾の“絆”を表わす人物である。父を早くに亡くした徳章は、貧困の中、辛酸を舐めながら勉学に励み、ついに当時の最難関国家試験である高等文官司法科と行政科の試験に両方合格する。
帝都・東京から故郷・台南へ帰り、台湾人の人権確立のために活動する中、徳章は国民党政府の「二二八事件」弾圧から台南市民を救うために奔走する。自らの身を犠牲にしながら、多くの市民を助けた徳章は、50年後に忽然と“復活”する。苦難の道を歩んだ台湾と、なぜ今も台湾人が日本と日本人をこれほど愛してくれているのか、その根源を解き明かした感動の歴史ノンフィクション――。
(プロローグより)私は、蔡英文女史の姿と、歓喜で彼女の勝利を讃えた台湾人たちを見ながら、ここに辿りつくまでの「苦難の歴史」に思いを馳せずにはいられなかった。この勝利がもたらされるまでに、一体、どれほどの犠牲が必要だったのだろうか、と。そして、これまで流されてきた多くの、そして貴重な、血と涙を決して忘れてはいけない、と。勇気、信念、忍従、闘志、正義……先人たちが示しつづけた無形の財産こそ、台湾人の誇りだ。その多くの先人たちの中で、際立った光を放ち、日本人であり、同時に台湾人でもあった「一人の英雄」のことを、私は考えていた。もし、生きていたら、「この日」を彼は、どう迎えただろうか、と。