Voice2月号・表紙1219ol明日1月10日発売の月刊「Voice」2月号が「トランプの本性」を特集し、宮崎正弘氏が「台湾が米国と復縁する日」と題して寄稿、トランプ米国次期政権の対中国、対台湾への姿勢について読み応えのある分析を発表している。

まず、12月2日のトランプ氏と蔡英文総統の衝撃の電話会談について、宮崎氏はキッシンジャーの北京訪問から説きはじめ、この訪問と符節を合わせた電話会談は「(米台)国交断絶以来、37年ぶりの快挙」と位置づける。そして、この電話会談は「トランプ陣営にあって長きにわたって練り上げられた演出だった」と指摘、会談の舞台裏について親台湾派のボブ・ドール元上院議員やヘリテージ財団のエドウィン・フルナー理事長の名を挙げている。

また、大統領選へ出馬表明して以降のトランプ氏の中国に関する発言を紹介しつつ、その一方で、習近平と近しいアイオワ州知事のテリー・ブランスタッドを次期中国大使に指名したことと、トランプ氏が「別の手」としてスティーブン・イエーツを台湾に派遣したことを紹介、トランプ氏の硬軟使い分けた用意周到ぶりを浮き彫りにしている。

宮崎氏はまた、「トランプ・ピボット(軸)が起きる可能性が高い」と予測し、その理由として、北朝鮮の核武装に中国がなにもしなかったことでその不信感が消えていないことと、オバマがアジア・ピボットを提唱しながらなにもしなかったことを挙げ、「トランプは、次のアジア・ピボットを用意していると考えるほうが理に適っていないか」と指摘している。

しかし宮崎氏は、トランプ氏の中国不信が消えないからといって、果たして米国は本気で中国と対峙するのかという懸念も表明している。それは「中国が日本に次いで米国の赤字国債を保有しているイやな事実」があるからだという。

1月20日に発足するトランプ政権。日米関係は安倍総理の迅速な対応でそれほど心配する状況にないと見られるが、やはり気になるのは台湾と米中関係だ。台湾と米中関係はすぐ日本に飛び火して来る。台湾関係者にはぜひご一読いただきたい論考だ。

ちなみに、月刊「Voice」2月号の特集「トランプの本性」には、日高義樹「イデオロギーのない強靭さ」、長谷川慶太郎「TPPへの復帰を決断する日」、ケント・ギルバート「星条旗と日の丸」、竹田いさみ「中国の南シナ海進出最前線」なども掲載している。

◆月刊「Voice」2月号【1月10日発売 定価:780円】