20170418-01昨日(4月17日)、上智大学名誉教授の渡部昇一先生が心不全のため亡くなられました。享年87。これまでのご指導に心から感謝の念を捧げるとともに謹んで哀悼の意を表します。産経新聞が
詳しく報じていますので下記にご紹介します。

4年前の3月、本会総会の記念講演で渡部昇一先生に「集団的自衛権の確立と台湾」と題してお話しいただきました。

渡部先生は、中国が世界を征服しようとしている現状に早くから警鐘を鳴らし、集団的自衛権の確立を唱導されていて、ご講演では、神聖ローマ帝国ができたときも、ナポレオンやヒトラーが登場してヨーロッパが崩れそうになったときも、イギリスがカウンターウエイト(釣り合いをとるための重り)となって抑えたと指摘。

同様に、中国という大陸の蓋となるアジアのカウンターウエイトは、日本と台湾であり、それを機能させるのが日本の集団的自衛権の発動だと指摘されました。

その上で、集団的自衛権の適用範囲を台湾まで広げ、米国の台湾関係法とリンクさせれば、東アジアは安定し、中国がなくなる日が来ると説かれ、会場から万雷の拍手が起こったことを思い出します。本当に胸のすくご講演でした(講演DVDについては本会事務局までお問い合せ下さい)。


評論家の渡部昇一氏が死去 第1回正論大賞、「知的生活の方法」など著書多数

【産経新聞:2017年4月18日】

本紙正論メンバーで第1回正論大賞を受賞した英語学者・評論家で上智大名誉教授の渡部昇一(わたなべ・しょういち)氏が17日午後1時55分、心不全のため東京都内の自宅で死去した。86歳だった。葬儀・告別式は親族で行う。喪主は妻、迪子(みちこ)さん。後日、お別れの会を開く。ここ数日、体調を崩していた。

昭和5年、山形県鶴岡市生まれ。上智大大学院修士課程修了後、独ミュンスター大、英オックスフォード大に留学。帰国後、上智大講師、助教授をへて教授に。専門は英語学で、「英文法史」「英語学史」などの専門書を著した。

48年ごろから評論活動を本格的に展開し、博学と鋭い洞察でさまざまな分野に健筆をふるった。51年に「腐敗の時代」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。同年に刊行された「知的生活の方法」は、読書を中心とした知的生活を築き上げるための具体的方法を論じ、100万部超のベストセラーとなった。

57年の高校日本史教科書の検定で、当時の文部省が「侵略」を「進出」に書き換えさせたとする新聞・テレビ各社の報道を誤報だといちはやく指摘し、ロッキード事件裁判では田中角栄元首相を擁護するなど論壇で華々しく活躍。一連の言論活動で「正確な事実関係を発掘してわが国マスコミの持つ付和雷同性に挑戦し、報道機関を含む言論活動に一大変化をもたらす契機となった」として60年、第1回正論大賞を受賞。東京裁判の影響を色濃く受けた近現代史観の見直しを主張するなど、保守論壇の重鎮だった。平成27年、瑞宝中綬章。主な著書に「日本史から見た日本人」「ドイツ参謀本部」など。フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」など翻訳も多数手がけた。