本日午前、修復が終わった八田與一技師の銅像の除幕式が行われ、修復後の銅像が初めて公開されました。
除幕式には、日本から八田技師令孫の八田修一(はった・しゅういち)氏や金沢市の山野之義(やまの・ゆきよし)市長らが駆けつけ、台湾側からは台南市の頼清徳市長や楊明風・嘉南農田水利会会長、黄崑虎・国策顧問などが参列して除幕式に臨みました。また、毎年の墓前祭では司会をつとめてきた台湾在住の「八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会」世話人の徳光重人(とくみつ・しげひと)氏なども参列しています。
この模様を中央通信社が伝えていますので下記に紹介するとともに、共同通信が山野市長と八田修一氏へのインタビューを交えて動画で配信し、また台湾のテレビ局「民視」が台南市が撮影していた修復の模様を交えて放映していますので、下記にご紹介します。
八田修一氏は、八田技師長男の故八田晃夫(はった・てるお)氏の長男。晃夫氏は2006年の墓前祭に参列した直後に体調を崩して5月20日に亡くなりましたが、修一氏は月刊「歴史街道」6月号(5月6日発売)のインタビューで、この墓前祭で晃夫氏が話した内容を繰り返してカセットテープで聞き返し「いつしか『お前も日台のかけはしになれ』と自分も言われている気がしてきた」そうで、2007年以降の墓前祭に父の代わりとして欠かさず参列していると述べています。
修一氏は5月7日、共同通信のインタビューに、銅像修復について下記のように述べています。
「台湾の方々がダムの水のことを本当に大切だという気持ちを表したのが、この短い期間での修復だったと思っています。それが、遺族にとっても、日本人としてもたいへん嬉しく思いました。今後もよりいっそう固い絆で結ばれていくことを私も祈っております」
◆動画:日本人像修復で除幕式 台湾のダム、命日前に【共同通信:5月7日】
壊された八田像の修復除幕式 「日台の友情を確かめに来た」=八田氏孫
【中央通信社:2017年5月7日】
4月に破壊された台南市の八田与一氏の銅像修復が完了し、7日に除幕式が行われた。同市の頼清徳市長をはじめ、八田氏の親族や八田氏の地元である金沢市の山野之義市長など、日本と台湾から多くの関係者が詰め掛けた。八田氏の孫、修一さんは、銅像が修復されたことがまだ信じられないと感激を示した上で、銅像を見るために来たのではなく、日台の壊れることのない友情を確かめに来たのだと語った。
頼市長は、銅像が壊されたことは遺憾だとし、犯行は日台の友情の破壊が目的だったが、双方の関係は試練を乗り越えてこそ、より深く結ばれるのだと述べた。
銅像は先月15日に頭部が切断され、同市の奇美博物館などの協力を得て修復が進められていた。だが、銅像が再度襲撃されるのを懸念した関係者は、修復に関する情報公開を控えていたという。頼市長は、先月26日には修復が完了していたことを除幕式で初めて明らかにした。
銅像の破壊については、元台北市議会議員の男らが犯行を認めており、現在、男らには出国制限が課されている。台南地方法院検察署(地検)は共犯の有無について調べを進めるとしており、依然行方不明となっている銅像の頭部についても捜索を続ける方針。
八田氏の命日に当たる8日には、慰霊祭が予定されている。