長野県松本市の菅谷昭(すげのや・あきら)市長は3年前に高雄市を2回訪問し、陳菊(ちんぎく)高雄市長との会談の中で、両市が前向きに交流を進めることに合意、その後も交流に向けた協議を重ね、2015年7月14日、双方の市民の健康の増進、福祉の向上、青少年の健全育成を目的として、高雄市の市政府関係者を松本市に迎えて「健康・福祉・教育分野の交流に関する覚書」を締結しています。
日台間で「市民の健康の増進、福祉の向上」を目的とした都市間提携が結ばれるのは珍しいことで、恐らく初めてのことと思われます。
菅谷市長は信州大学医学部出身の外科医だそうで、チェルノブイリ原発事故の医療支援活動に参加し、ベルラーシ共和国の首都ミンスクの国立甲状腺がんセンターで小児甲状腺がんの外科治療に従事していたことから、長野県衛生部に採用され、衛生部長を経て、2004年に松本市長に当選していますので、菅谷市長のキャリアを背景に「健康・福祉・教育分野の交流に関する覚書」が結ばれたようです。
覚書締結の翌2016年3月末には陳菊・高雄市長が行政や医療関係者ら28人で長野県を訪れ、2012年11月に高雄市と「教育・観光交流覚書」を結んだ阿部守一(あべ・しゅいち)知事を表敬訪問後、松本市を訪れて交流しています。
そして、今回は松本市側が5月12日に高雄市の陳菊市長を表敬訪問し、また「松本市で健康づくりに取り組む住民らが高雄市内の施設で、市民に減塩料理を振る舞った」そうで、松本市ならではの交流を重ねたようです。地元紙の「信濃毎日新聞」が伝えていますので、下記にご紹介します。
なお、日台間の姉妹都市などの都市間提携は、本会調査によれば今年2月の宮崎県と新竹県の「交流協定」締結で、すでに今年7件目であり、1979年以降では64件に達しています。詳しくはホームページをご覧ください。
松本市と台湾・高雄市、深まる友好
【信濃毎日新聞:2017年5月13日】
台湾・高雄市を訪れている松本市の公式訪問団37人は12日、高雄市政府を訪れ、陳菊市長らと面会した。松本市の菅谷昭市長と陳市長は、今後も友好を深めていくことを確認。これに先立ち松本市の開成、鎌田、旭町中学校の生徒12人は高雄市内の中学校を訪れ、同世代で交流した。
高雄市政府の庁舎を訪れた菅谷市長は「双方の市民が互いの理解を深め、交流が幅広い分野に広がり、多くの市民が行き交う関係につながることを強く願っている」とあいさつ。陳市長は「(松本市が)健康寿命延伸都市を目指して政策に取り組み、日本国内でも先行していることに敬意を表したい」と応じた。
高雄市内の中学校では、松本市の中学生が英語で松本や学校について紹介したり、双方の生徒が一緒に昼食を食べたりした。旭町中2年の三村岬(みさき)さん(13)は「台湾の子はフレンドリーで積極的。これからも交流を続けたい」と話していた。
このほか、松本市で健康づくりに取り組む住民らが高雄市内の施設で、市民に減塩料理を振る舞った。松本大と同大松商短大部(ともに松本市)は、私立の義守大(高雄市)との間で学術や学生、教職員同士の交流を進める協定を結んだ。松本大の住吉広行学長らが出席した。