本日、国民党の主席選挙の投開票が行われ、馬英九政権で副総統を務めた呉敦義氏が得票率52.24%を獲得して大勝した。
主席選挙には呉氏のほか、現主席で立法院副院長を務めた経験もある洪秀柱氏や、国防部長や行政院長などを歴任した党元老の郝伯村氏の息子で台北市長などを務めた現副主席の郝龍斌氏など6人で争われた。
過半数を獲得した候補者がいない場合は上位2名による決選投票が来月初旬に予定されていたが、呉氏の大勝に終わった。
呉氏は南投県生まれの本省人で69歳。台湾大学卒業後、新聞記者を経て、台北市議会議員を振り出しに、高雄市長や南投県長、行政院長を歴任、馬英九政権では2012年から2016年まで副総統を務めた。
言動がたびたびブレることなどから「白賊義(ほら吹き)」とのあだ名もある呉氏だが、洪秀柱・現主席や郝龍斌・前台北市長のように急進的な中国統一派とは一線を画すとともに、理知的な政治手腕もあるとされ、民進党政権に期待したものの不満を抱く有権者の受け皿になる可能性もある。
洪氏や郝氏が主席となれば、台湾社会の一般的な民意を汲み取れる主張や政策提案を国民党が推し進める可能性は低かったため、来年の6大都市首長選挙や2020年の次期総統選挙は、民進党にとって楽な戦いになると見られていた。しかし、呉氏が主席に就任することで、民進党にとってはある程度の困難が待ち受ける選挙戦になるとみられ、蔡英文総統には一層苦しい政権運営になるだろうという声も出ている。
呉氏は8月20日に就任し、4年間の任期を務める。