去る5月17日、亜東関係協会は「台湾日本関係協会」と名称を変更した。その前日、同協会の蔡明耀・秘書長は外交部の主任秘書となり、その後任に副秘書長だった張淑玲氏が就任いている。
6月6日、張秘書長は安倍総理の日中関係改善発言を念頭に、対日関係について「日本は他の国、地域とどのような関係を築くかに拘らず、台湾との実質的な交流関係を発展させられるはずだ。我々は日本政府もそうであると信じている」と、今後とも日本との友好を継続し、交流の発展を希望するコメントを発表した。
安倍総理はすでに昨年5月20日、奇しくも蔡英文氏の総統就任式の当日朝、江口克彦・参院議員(当時)の質問主意書に対し、下記のような画期的な答弁書を発表している。
<台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、昭和47年の日中共同声明第3項を踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものである。政府としては、このような基本的立場に基づき、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーである台湾との間においてこのような実務関係が着実に発展していくことを期待している。>
日本政府もまた台湾との「実務関係が着実に発展していくことを期待している」のであり、日本と台湾の息はピッタリだ。中国の動向に左右されることは考えにくい。
日本ではまだ一般的にはなじみのない張淑玲・秘書長なので、改めてそのプロフィールをご紹介したい。
【張淑玲・台湾日本関係協会秘書長】
1968年、台湾・台北市生まれ。淡江大学法学系卒業。僑務委員会委員長、外交部長、亜東関係協会会長の秘書官を歴任後、2001年に台北駐日経済文化代表処の業務部課長に就任。秘書組組長、文教組組長、政務部次長などを経て2014年に政務部部長に就任。2017年1月、亜東関係協会副秘 書長に就任。5月16日、同協会秘書長に就任。
外交部:日本との友好関係継続を希望
【台湾国際放送:2017年6月6日】
外交部が、日本と中国大陸の関係改善に関わらず、台湾と日本の友好関係が続くことを希望した。
台湾の対日本窓口機関、台湾日本関係協会の張淑玲・秘書長は6日、今年は日本と中国大陸の関係がいわゆる「正常化」をされて45年であることから、双方の交流は活発になるとみられる他、日本国内でも関係改善が必要と考える人が少なくないと述べた。張・秘書長はその上で、日本と中国大陸の関係改善にあたって、全体の状況が一種のゼロサムゲームにならないよう希望する立場を示した。
張・秘書長は、「日本は他の国、地域とどのような関係を築くかに関わらず、台湾との実質的な交流関係を発展させられるはずだ。我々は日本政府もそうであると信じている。つまり、過去に日本と他の国々との関係がどうであるかにかかわらず、比較的よく緊密な状態にあった時も、そうでなかった時も、台湾との友好的な関係を継続的に広げていくことができた」と述べ、中国大陸との関係を改善しても、日本と台湾との友好関係が続いていくことを希望した。
一方、アメリカのジェームズ・マティス国防長官が、先日シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で行った演説の中で、台湾関係法と台湾への兵器の売却の約束を果たすことに言及したことについて、外交部の王珮玲・報道官は、マティス国防長官は今年1月の指名承認公聴会に続いて再び、アメリカは台湾の安全保障に対する約束を守ると強調したことになると説明、特にアジア安全保障会議という地域の安全保障に関する重要なフォーラムで台湾に友好的な発言をしたことは、トランプ政権の台湾の安全保障並びに台湾海峡の平和と安定に対する変わらぬ支持を十分に伝えているとして、歓迎と感謝の意を示した。