台湾の行政院は6月1日、経済部(経済産業省に相当)が提出した「風力発電推進4ヵ年計画」を閣議決定し、既存の原子力発電所の運転を停止する2025年までに風力発電の累計設備容量を4.2GW(ギガ・ワット)に引き上げることを目指すという。
台湾週報は「同計画によれば、2017年から2020年まではまず発電量の高い陸上ウィンドファームを開発すると同時に、海の浅瀬部分に洋上のモデルウィンドファームを建設する。これによりこの4年間で風力発電の設備容量を652MW(メガ・ワット)増やし、累計設備容量を1,334MWに引き上げる。中長期計画としては、発電量がやや劣る陸上ウィンドファームを開発すると同時に、沖合や深海での洋上ウィンドファームの建設を進める。これにより2025年までに累計設備容量を4.2GWに引き上げる」と伝えている。
この計画に呼応し、早速6月6日、風力発電機の認証も手掛ける日本海事協会は「認証業務、関連研究、検査業務、研修などの面での三者間の協力関係を深化させ、台湾における洋上風車認証制度の確立」を目的として、台湾金属工業研究発展中心(MIRDC)及び台湾験船中心(CR)と「洋上風力に関わる包括的連携協定」を締結した。下記に同協会のプレスリリースをご紹介したい。
日本海事協会は1899年(明治32年)に設立され、現在は船級関連業務やマネジメントシステム認証(ISO&OHSAS関連)業務を主な業務としているそうで、詳しくはホームページを参照いただきたい。
実は2015年8月に日本海事協会は台湾港務が港湾と「国際化交流促進のため協力覚書」を締結していて、今回の「洋上風力に関わる包括的連携協定」はそれに続く提携だ。台湾のエネルギー政策の根幹に関わることでもあり、今後の展開に期待しつつ心から祝意を表したい。
台湾金属工業研究発展中心(MIRDC)及び台湾験船中心(CR)と洋上風力に関わる包括的連携協定を締結
【日本海事協会プレスリリース:2017年6月7日】
6月6日(火)、一般財団法人日本海事協会(ClassNK、会長:冨士原康一)は、台湾における洋上風力活用の推進のため、台湾経済部標準検験局(BSMI)の劉明忠局長の臨席の下、同国の認証・検査団体である台湾金属工業研究発展中心(MIRDC:林仁益董事長)及び台湾験船中心(CR:趙國樑董事長)との間で、洋上風力に関わる包括的な連携協定を締結しました。
台湾では、2025年までに既存の原子力発電所の運転を停止することが決定されています。台湾政府は有力な代替エネルギー源、また新産業育成の観点より、洋上風力の開発を積極的に進めており、商業化への機運が高まりを見せています。一方、2015年8月に台風13号による台中市海岸付近の陸上風車倒壊事故が発生したことなどを受け、風車の安全確保の重要性が認識されており、台風や地震対策などで先行する日本の技術力や認証制度に関わる知見の活用への期待の声が寄せられてきました。
本会はこれまで、台湾における洋上風力の認証・検査の担い手となるMIRDC及びCRとそれぞれ業務協定を締結し、活動を進めてきましたが、今般BSMIの要請に基づき、三者間の連携をより強化した包括的連携協定を締結する事となりました。新たな協定の下、認証業務、関連研究、検査業務、研修などの面での三者間の協力関係を深化させ、台湾における洋上風車認証制度の確立への貢献を図ります。
また、本会は、本協定による取り組みを通じ、引き続き日本国内発の関連技術の普及及び海外市場創出の支援に努めてまいります。
【参考情報】台湾側関係機関の概要
BSMI(経済部標準検験局):経済部で工業標準や製品検査などを所管する部局。今後、洋上風力発電の安全確保などを担う。
MIRDC(金属工業研究発展中心):経済部の関連機関で各種工業製品の高度化のための研究や製品試験などを実施。今後、大型風車の認証及びウィンドファームのプロジェクト認証を実施していく予定。
CR (台湾験船中心):台湾の船級協会。今後、洋上風力発電設備の支持構造物の認証や洋上施工の安全確認検査などを実施していく予定。