岩波書店の『広辞苑』が台湾を中華人民共和国としているなどの誤記問題で、台北駐日経済文化代表処は12月11日に「厳正な異議を表するとともに、しかるべき修正を強く要望」し、また全日本台湾連合会(趙中正会長)も同様の要請をした。産経新聞が伝えている。
ちなみに、9年前の2008年2月、本会会員がこの同じ誤記問題について岩波書店側に修正を要請したところ、そのときは誤記を認め「刷りを改める機会があり次第、訂正いたします」と回答してきている。
来年1月12日には10年ぶりの全面改訂となる第7版が刊行予定されているとのことなので、岩波書店は本会会員への回答どおりに修正したのか楽しみに待ちたい。
◆台北駐日経済文化代表処:岩波書店「広辞苑」の台湾に関わる誤記に関して[12月13日]
台湾側、「広辞苑」の修正要求 「中華人民共和国の省」との記載「誤り」
【産経新聞:2017年12月16日】
国語辞典「広辞苑」で、台湾が「中華人民共和国」の一部として表記されていることに対し、台北駐日経済文化代表処(在日大使館に相当)が広辞苑を発行する岩波書店側に表記の修正を求める書簡を作成し送付したことが15日、分かった。関係者が明らかにした。来年1月に広辞苑の最新版「第7版」が刊行される予定だが、最新版での表記修正を求めている。
また在日台湾人組織「全日本台湾連合会」(全台連)など約20団体も、同様の修正を求める要請を行ったことが15日、分かった。
要請文によると、広辞苑「第6版」の中華人民共和国に関する項目で示された地図で、台湾を中国の省として記載している。また1972年に調印した日中共同声明では、日本は中国側の立場を「十分理解し、尊重」と表現するにとどめているにもかかわらず、同声明に関する項目では「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と認め、台湾がこれに帰属することを実質的に認め」などと書かれている。
全台連の趙中正会長は要請後に産経新聞の取材に対し、「日本を代表する国語辞典が事実に反する表記をするのは決してあってはならない。日本の国益にも関わる問題なので、誤りを認識してもらいたい」と述べた。
岩波書店側は、修正するかどうかなどについて明言を避けたという。
広辞苑は55年の初版から改訂を重ね、来年1月12日には10年ぶりの全面改訂となる第7版が刊行予定。