毎年1月、公益財団法人全国修学旅行研究協会は「全国公私立高等学校海外(国内)修学旅行・海外研修実施状況調査報告」を発表している。今年は1月26日に平成29年(2017年)5月1日現在で調査した平成28年度(2016年度)の調査報告を発表した。

なんと海外修学旅行先で台湾が4万1,878人(262校)と、アメリカ(ハワイ、グアム、サイパンを含む)の3万6,661人(254校)をおさえ断トツの1位となった。

同協会の平成27年度(2015年度)発表では、台湾は人数こそ3万6,356人でアメリカの3万6,170人をわずかに上回って1位となったが、学校数では224校で、アメリカの249校を下回っていたから、平成28年度は人数も学校数も1位となった。

毎日新聞は「台湾は06年度の3552人と比べ約11.8倍となった」と、10年前から約12培にも増えているとして、台湾が修学旅行先になる要因として、航空便の急増、親日的、安全性を挙げ、韓国と中国への激減ぶりと比較しながら伝えている。

本会も毎年、全国修学旅行研究協会の調査報告を紹介し、また文部科学省も昭和61年(1986年)から2年に1度「高等学校等における国際交流等の状況について」という同様の調査報告を発表しているので、発表となり次第紹介している。

この文部科学省の調査報告によると、中国と韓国へは平成12年(2000年)から14年(2002年)がピークで、平成12年(2000年)は中国が4万1,695人(213校)でダントツの1位、韓国が3万7,663人(241校)で2位につけ、台湾は2,225人(18校)で11位にとどまっていた。

それから17年を経て、台湾へは4万1,878人(262校)と、2000年の中国や韓国を凌駕するようになっている。昨今の政治状況を反映しているともいえようが、2011年の東日本大震災のときに示してくれた台湾からの手厚い支援ぶりがその最大の要因となっていることは、修学旅行の統計ばかりではなく、姉妹都市提携や鉄道提携の状況からも容易に推察できる。

台湾が「日本の生命線」という状況は明治時代から変わらない。近年になってようやくそれが姉妹都市提携や鉄道提携、この修学旅行の数値に現れてきたと言える。明治維新から150年を迎えた今年最初の朗報だ。


日本からの修学旅行トップに 10年前の11倍超

【毎日新聞:2018年1月27日】

修学旅行で日本から台湾に行く高校生が10年前と比べ11倍超に急増し、海外の修学旅行先で米国を抜いてトップに立った。親日的で治安が良いうえ、地方都市の航空路線が急激に増えて利便性が高まったことが背景にあるようだ。対照的に中国や韓国への修学旅行は急減しており、外交問題が影響している可能性がある。

毎年調査している「全国修学旅行研究協会」(東京都)が26日、2016年度分のデータをまとめた。旅行先で台湾は262校4万1878人、米国(ハワイ、グアム、サイパンを含む)は254校3万6661人だった。台湾は06年度の3552人と比べ約11.8倍となった。校数、人数とも台湾が1位になるのは初めて。同協会の木田一彦・国際担当部長は「親日的で治安も良いのが人気の理由。旅費が安価な点も大きい」と指摘する。 

台湾の人気上昇の背景には、航空便の急増もある。日本と台湾は11年、路線や便数の制限を原則撤廃する協定を締結。国土交通省によると、直行便の就航都市は10市から19市へ、旅客便数も週225便から同592便へと急増した。15年に直行便が就航した熊本県教委の担当者は「台湾は海外修学旅行の主流だ」と話す。 

一方、韓国への修学旅行は06年度2万3197人から16年度3246人と約7分の1に激減した。多くの修学旅行生が犠牲になったセウォル号事故があった14年度に半減した。中国も06年度1万4031人から16年度3398人と約4分の1に減った。日本政府の尖閣諸島国有化に伴う反日デモが相次いだ12年度、中国への修学旅行中止が相次いだ。私立銀河学院高(広島県福山市)は「修学旅行先は、12年に保護者から懸念の声が数多く寄せられて中国から台湾に変更して以降、毎年台湾。親日的で心配なく旅行できる」と話している。