かつて、明治維新についてこれほど鮮やかな切り口をもって説明した本があっただろうか。
なぜ日本は明治維新に成功し、近代化に成功したのかについて、江戸時代が世界でも稀にみる高度に成熟した封建制度を擁していたからで、中国や朝鮮が郡県制を統治機構としてきたことが日本との決定的な違いであり、成否の要因だと説く。
また、旧体制が統治能力を喪失したとき「代替者」が出現するか否かも成否のポイントで、日本には代替者を養成してきた土壌があり、中国・朝鮮にはなかったと説く。
明治維新を成し遂げた日本がどのように日清戦争に臨み、どのように日露戦争を準備したかについても、福沢諭吉の言説を基調としつつ、陸奥宗光と小村寿太郎の外交をめぐるその炯眼を描く。
最後に「台湾とは何か」に言及し、日本人の志の高さが台湾開発の中に顕示されていることを具体的につづり、明治維新から150年、日台関係の強化が不可欠な時代の到来だと喝破している。
【育鵬社 発行:2018年1月 定価:1,620円(税込) 四六判・並製・256頁】
渡辺利夫 [わたなべ・としお] 日本李登輝友の会会長・拓殖大学前総長
昭和14年(1939年)6月22日、山梨県甲府市生まれ。同45年、慶應義塾大学経済学部を経て同大学院博士課程満期取得。経済学博士(同55年)。その後、筑波大学教授、東京工業大学教授、拓殖大学教授を歴任して同大学長、総長に就任。同27年12月、同大総長を退任し学事顧問に就任。同28年3月、日本李登輝友の会会長に就任。公益財団法人山梨総合研究所理事長、国家基本問題研究所理事、公益財団法人オイスカ会長。第27回正論大賞受賞。
主な著書に『成長のアジア停滞のアジア』『開発経済学』『西太平洋の時代』『神経症の時代─わが内なる森田正馬』『新脱亜論』『アジアを救った近代日本史講義』『国家覚醒―身捨つるほどの祖国はありや』『放哉と山頭火─死を生きる』『士魂─福澤諭吉の真実』『決定版・脱亜論─今こそ明治維新のリアリズムに学べ』など多数。
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