日本台湾交流協会は5月14日、フェイスブックにおいて中国語と日本語により「日本は台湾のWHO総会への参加を引き続き支持します」と表明した。これを受け、台湾の外交部が謝意を表している。下記にそのフェイスブックの全文と、謝意について伝える中央通信社の記事を紹介したい。

台湾が昨年5月に世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)への出席ができそうにない状況下、菅義偉・官房長官は記者会見で「感染症対策をはじめ、国際保健課題への対応に地理的空白を生じさせないためにも、台湾が何らかの形で参加することが望ましい」と述べ、日本がこれまでと同じように台湾の出席支持を表明している。

これに対して蔡英文総統が即日、日本語で「日本政府による心強いご支持に対して感謝したいと思います」とツイートしたことは未だ記憶に新しい。

今回の日本台湾交流協会の支持表明は、5月9日に米国在台協会(AIT)がフェイスブックで台湾の総会出席を支持すると表明したことも背景にあるようだが、従来の日本政府の立場を踏襲している。日本台湾交流協会はこれまでこのような表明は積極的にしてこなかった印象があるが、今回の勇気ある表明に敬意を表しつつ、今回の表明をマイルストーンとして今後も日台共栄のため積極的な活動を期待したい。

やはり、日本にとっては台湾で流行するサーズや麻疹(はしか)などの感染症は他人事では済ませられない。それに限らず「公衆衛生危機への対応の強化は必要不可欠」であり、地理的空白を生じさせないことがもっとも重要な観点だ。

その点で、台湾の参加を阻止することで地理的空白をつくる中国、そして、その中国の圧力に屈した世界保健機関は、世界人類の健康と福祉を守るという原点を圧殺しようとする暴挙としか言いようがない。

◇     ◇     ◇

日本台灣交流協會消息站: 5月14日 16:12 

15年前的SARS疫情爆發, 還有最近流行的麻疹。這些例子都提醒我們, 對與台灣之間人員往來非常頻繁的日本來說, 台灣的防疫工作絕對不是事不關己。從這一觀點, 日本一貫地支持台灣以觀察員參加世界衛生組織大會。實際上, 台灣從2009年到2016年連續8年都以觀察員參加世衛大會。 隨著國際化的進展, 全球規模的課題都在增加的現今, 加強對於世界公共衛生危機的應對是不可缺少的。去年和今年, 台灣都沒有収到世衛大會的邀請函, 這一狀況令人非常遺憾。為了避免以防疫工作為首的國際保健課題的努力產生空白地區, 日本繼續支持台灣參加世衛大會。

15年前のSARSの爆発的流行や,最近の麻疹に見られるように,台湾との間で非常に頻繁な人的往来のある日本にとって,台湾の感染症対策は決して他人事ではありません。こうした観点から,日本は台湾がWHO総会にオブザーバーとして参加することを一貫して支持してきました。そして実際,台湾は2009年から2016年まで8年連続でオブザーバーとして参加しています。国際化の進展に伴い,地球規模の課題が増加している昨今,世界的な公衆衛生危機への対応の強化は必要不可欠です。昨年に続き今年も台湾にWHO総会の招待状が届いていない状況は誠に残念です。感染症対策をはじめとする国際的な保健課題への対応に地理的空白を生じさせないためにも,日本は台湾のWHO総会への参加を引き続き支持します。


外交部、日本や米国に感謝 台湾のWHO総会参加への支持表明で

【中央通信社:2018年5月15日】

スイス・ジュネーブで21日に始まる世界保健機関(WHO)年次総会に台湾がいまだに招請されていないのを受け、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会は14日、フェイスブックで台湾のWHO総会への参加を支持するとの立場を示した。これまで米国や欧州連合(EU)なども台湾の参加支持を表明しており、外交部(外務省)は15日、書面を公表し、これらの国や組織に謝意を示した。 

日本台湾交流協会は、2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)、今年に入ってからははしかが流行したことに触れ、台湾との間で人的往来が頻繁な日本にとって「台湾の感染症対策は決して他人事ではない」と指摘。昨年に続き今年も台湾に招請状が届いていないのは残念だとし、感染症対策をはじめとする国際的な保健課題への対応に地理的空白を生じさせないためにも台湾の参加を支持するとの立場を示した。 

米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)も9日、フェイスブックで台湾の総会への出席を「強く支持する」と表明したほか、AITのソニア・アーボン報道官は中国大陸が再び台湾の参加を阻害したのは非常に残念だとメディアの取材に対して述べた。 

EUの外務省に相当する欧州対外行動庁の報道官は8日、ベルギーで中央社の取材に応え、台湾のWHO総会参加に対する明確な支持を表明。EUが書面ではなく、インタビューに応じた上で支持を示すのは珍しい。 

外交部は、各国の参加支持表明は台湾が世界健康安全保障を促進する上で不可欠な存在であることを表していると言及。WHO総会や関連する会議などへの台湾の参加支持をより多くの国が表明してくれることを歓迎すると期待を示した。 

台湾は2009年から2016年まで8年連続でWHO総会にオブザーバー参加してきたが、昨年は中国大陸の圧力により出席がかなわなかった。今年の出席登録は7日に締め切られたが、台湾にはいまだに招請状が届いていない。