鳥取県といえば梨を思い浮かべる方も多いと思います。二十世紀梨は国内生産量の5割を超え、全国一の出荷量を誇っています。台湾、香港、アメリカなど海外にも輸出されているそうです。
挿木や接木に使う枝を穂木(ほぎ)といいますが、台湾では、母木である台湾の梨の株に日本の梨の穂木を接木して梨栽培をしています。梨王国の鳥取県は梨の穂木も特産品で、鳥取県と台湾の交流はこの花芽がついた穂木を台湾に輸出したことから始まっています。
以来、鳥取県の梨生産者が台湾を訪問し、2000年には当時の片山善博知事が台湾で二十世紀梨の販売促進のトップ・セールスをするなど、現在も梨を通じた交流が続いています。
2007年3月には、梨穂木の輸出が縁で、三朝温泉で有名な同県東伯郡三朝町(みささちょう)と台中市石岡区が「交流促進協定」を締結。また、漫画『名探偵コナン』の原作者でもある青山剛昌(あおやま・ごうしょう)の出身地である東伯郡北栄町(ほくえいちょう)は西瓜や葡萄が特産品で、同じく西瓜を特産品とする台中市大肚区と2010年7月に「友好交流協定」を締結しています。
さらに、2017年10月23日には、林佳龍市長の立会いの下に穂木の受入先だった台中市と観光交流協定を結んでいます。
このように台湾との交流を深めていた鳥取県は6月6日、今年の11月3日に台中市と友好提携を締結すると発表。11月に台中市で開かれる「2018台中フローラ世界博覧会(花博)」の開幕に合わせて平井伸治(ひらい・しんじ)知事が同市を訪れ、林佳龍台中市長と調印式に臨むそうです。
台湾の大地で育まれた母木に、枝は日本の鳥取県という台湾の二十世紀梨が紡いだ、日台共栄を象徴するような都市間提携となるようで、心からお祝い申し上げます。