いまや世界中のどこでもテロや海賊行為が起こる可能性がある。捜索や救難、または大規模自然災害などが起こった場合、当該国だけでは対処できない。現実問題として、印度・太平洋地域の中心となる西太平洋において起こる可能性が高い。

そこで本会は今年3月、国際・地域テロ、海賊、捜索・救難、大規模自然災害などいわゆる「非伝統的」海洋安全保障における共同訓練(ウエストリムパック)を日米主催で実施し、地域諸国全体での対応力の向上を図ろうとする点で、台湾は参加不可欠の地域メンバーであることから、台湾にも参加を呼び掛ける共同訓練の提案を行った。それが今年の政策提言「台湾を日米主催の海洋安全保障訓練に参加させよ」だ。

7月16日、横浜市に本部を置き、海上災害の発生や防止の業務を担う「一般財団法人海上災害防止センター」と台湾最大の産業技術研究開発機構の工業技術研究院が毒物災害対応力の強化に向けた協力覚書を締結した。

毒物災害とはあまり聞きなれない用語だが、「毒物及び劇物取締法」に定める毒物には、黄燐、シアン化水素、ジエチルパラニトロフエニルチオホスフエイト(別名パラチオン)、ジニトロクレゾール、水銀、砒素など27種類がリストアップされている。近年、化学工場などの大規模爆発などが起こるケースがみられることから、日台で対応力の強化に向けた協力をしようという覚書の締結となったようだ。

このような専門分野でも日台が協力しあえる間柄にあることを知り、改めて日台の絆の深さを認識した。下記に中央通信社の記事とともに、すでに工業技術研究院の「新聞資料庫」が関係写真とともに報じているのでご紹介したい。

◆工業技術研究院:7月16日「新聞資料庫」 工研院攜手日本海上災害防止中心 簽署毒化災應變備忘録 國際接軌防災應變

◆一般財団法人 海上災害防止センター

◆財団法人 工業技術研究院


日本と台湾の機関が毒物災害対策で協力、対応力向上へ=覚書締結

【中央通信社:2018年7月16日】

台湾の研究機関、工業技術研究院は16日、海上災害の発生や防止の業務を担う日本の海上災害防止センター(横浜市)と毒物災害対応力の強化に向けた協力覚書を締結した。対応技術や専門知識に関して協力関係を築くほか、双方が防災意識の普及を共同で推進することで、災害発生時の影響や被害の軽減を図る。 

調印式は新竹県内で行われ、工業技術研究院グリーンエネルギー・環境研究所の胡耀祖所長や海上災害防止センターの岩男雅之理事長らが出席した。胡所長は、今後は日本側との協力で、災害対応の国際的なプラットフォームを構築したい考えを示した。