協定締結を報じる静岡新聞ウェブ版

先日、本会HP上や本会メールマガジン『日台共栄』誌上で、静岡県三島市の特定非営利活動法人(NPO)「グラウンドワーク三島」と雲林県斗六市の国立雲林科技大が人材育成や学術研究交流に関する「インターンシップ協定」を10月12日に締結したことをお伝えした際に「民間のNPO法人と大学の協定というケースは珍しいのではないだろうか」と紹介したが、今度は同じ静岡県の藤枝市が10月27日、経済交流を促進するため、貿易や観光事業などを行う遠達国際企業有限公司と「包括連携協定」を締結したという。

自治体と企業の提携もあまり聞いたことがなく、2012年7月に三重県と台日産業連携推進オフィス(TJPO)が「産業連携に関する覚書」を交わし、2014年2月に和歌山県と台日産業連携推進オフィスと同じ「産業連携に関する覚書」を締結したくらいではないだろうか。

ただ、台日産業連携推進オフィスはその名のとおり、台湾と日本の経済交流の推進を図るため2012年に設立され、台湾と日本の交流推進を積極的にサポートしているといい、近年は医薬品の開発や医療設備とバイオ製品などでの提携を相次いで実現しているという(Taiwan Today誌)。

藤枝市のホームページによると、同市は「今まで台湾向けの観光プロモーションや教育旅行の誘致などを実施し、台湾からの訪日教育旅行(修学旅行)を積極的に受け入れて」きているという。そのような成果のひとつが、今回の遠達国際企業との「包括連携協定」締結のようだ。

なお、静岡県は都道府県レベルで初めて2013年4月22日に台北市内に駐在員事務所「ふじのくに静岡県台湾事務所」を開設するほど台湾との交流に力をそそいでおり、2013年8月には台北市内で初の「防災会議」を開催し、台北市、新北市、台南市、桃園県、嘉義県の各消防局と「防災分野における覚書」を締結。その翌年には正式に「防災に関する相互応援協定」を結び、昨年は台中市、高雄市とも同じ協定を結んで、行政院直轄6市すべてに及ぶという独自の交流を展開している。

このような静岡県そのものの取り組み姿勢も今回の遠達国際企業との「包括連携協定」締結の背景にはあるのではないかと思われるが、どんどん裾野が広がってゆく日台関係を象徴するような事例でもある。


藤枝市、台湾企業と協定 産品の販路拡大目指す

【静岡新聞:2018年10月28日】

藤枝市は27日、貿易や観光事業などを行う台湾の遠達国際企業有限公司(林世昌会長)と包括連携協定を結んだ。台湾で藤枝の産品を売り込む中、より連携を強化して販路拡大などの取り組みを加速させる考え。

協定は、藤枝と台湾各地域の産品の販路拡大▽藤枝と台湾各地域における観光・交流、文化の振興などでの協力を約束した内容。

具体的には藤枝商工会議所と岡部町商工会と連携し、台湾の企業との経済交流を促進する。台湾をはじめ海外への輸出や台湾からの観光客受け入れなどに取り組む藤枝江崎新聞店と遠達国際による合弁会社「FTグローバル」(本社・藤枝市、江崎晴城代表)とともに販路開拓や観光誘致などにも努める。

27日に市内で開幕したふじえだ産業祭の会場で北村正平市長と林会長が協定書を取り交わした。あいさつでは2人とも、連携強化が図られ、地域振興につながることを期待した。

市によると、市は2013年から台湾と交流を深め、市内企業の販路開拓などを支援してきた。市内の茶商らが協力して台湾で藤枝茶の販路開拓を進める動きも出ている。