日本政府は5月21日付で,令和元年春の叙勲受章者を発表しました。受章者は4,225名(桐花大綬章1名、旭日章991名、瑞宝章3,2333名)で、うち外国人受章者は142名(うち女性33名)です。

台湾からはお二人で、財団法人新光呉火獅記念医院董事長で台日文化経済協会理事の呉東進氏(台北市、74歳)が旭日中綬章、翻訳家で元宜蘭県史館「日文宜蘭文献翻訳計画」責任者の李英茂氏(宜蘭県、89歳)が旭日双光章を受章されました。心からお祝い申し上げます。

これで、台湾からの叙勲受章者は58名となり、2005年、蔡茂豊氏が旭日中綬章を受章して以降の受章者一覧を別途ご紹介します。

日本台湾交流協会が両氏の主要経歴や功労詳細を付してホームページで発表していますので下記にご紹介します。

ちなみに、本会と姉妹提携し、桜の苗木を昨年も今年も200本を寄贈している台日文化経済協会(杜恒誼会長)からは、これで5人目となります。

・許敏恵 旭日中綬章(台日文化経済協名誉会長) 2013(平成25)年春
・黄天麟 旭日中綬章(台日文化経済協会会長)  2017(平成29)年春
・何春樹 旭日小綬章(台日文化経済協会元理事) 2017(平成29)年秋
・鄭祺耀 旭日重光章(台日文化経済協会名誉会長)2018(平成30)年秋
・呉東進 旭日中綬章(台日文化経済協会理事)  2019(令和元)年春

もう御一方の李英茂氏は、片倉真理さんの『台湾探検』でも「宜蘭の歴史を伝える老人」として写真とともに紹介されています。ここでは「友愛会」のメンバーとして紹介されていますが、李英茂氏は「台湾歌壇」にも入られています。

本誌で傳田晴久氏の「台湾通信」を紹介させていただいていますが、今年の3月27日号で「天皇皇后両陛下遥拝」と題した一文をご紹介しました。昨年(2018年)4月22日に行われた月例会において、李英茂氏は天皇皇后両陛下のお写真を飾り、その前で「私のその日の日記」を読み上げられたことをつづっています。

李英茂氏は正装し、友愛会代表の張文芳氏らと羅東で待ち合せ、「与那国島に最も近い場所に行かれ、両陛下が西方に眼を向けて下さっているであろうその時刻に、直立遥拝、君が代を奉唱、萬歳三唱された」ことを紹介しています。また、李英茂氏が台湾歌壇で詠まれた次の和歌も紹介していました。

 海はるか与那国島の一点のかしこきあたりわれ遥拝す

叙勲の勲記と勲章は陛下が授与されます。このような歌を詠まれる方が、陛下からその功績に対して叙勲を受けられたのです。日本人としてこれほど嬉しいことはありません。

ともに先帝陛下と皇后陛下の与那国島行幸啓を与那国島に最も近いところまで駆けつけて遥拝された友愛会の張文芳代表も、すでに2015年(平成27年)秋に旭日双光章を受章されています。一方の台湾歌壇からも、2012年秋に鄭[土良]耀・元代表が旭日双光章、2014年春に蔡焜燦・代表が同じく旭日双光章を受章されています。

友愛会の方々も台湾歌壇の方々も、李英茂氏の叙勲を心から喜ばれているのではないでしょうか。

◆令和元年春の外国人叙勲受章者名簿(令和元年5月21付け発令)


令和元年春の外国人叙勲における台湾の受章者

【日本台湾交流協会:2019年5月21日】

この度、日本政府は令和元年春の外国人叙勲受章者を発表しました。その中で下記のとおり、日台間の友好関係の増進等に顕著な功績があったとして、台湾から2名の方々が受章されました。 

日本台湾交流協会としても日台関係の発展のために長年にわたり献身的なご尽力をされてこられた以下2名の方々のご貢献に衷心の敬意と謝意を表します。 

勲  章:旭日中綬章

氏  名:呉 東進

主要経歴:財団法人新光呉火獅記念医院董事長、財団法人台北市新光呉氏基金会董事長、台日文化経済協会理事、新光金融持株会社董事長、新光人寿保険株式会社董事長 

功労概要:医療分野における日本・台湾間の技術協力の促進に寄与 

功労詳細:呉東進氏は平成4年から現在まで財団法人新光呉火獅記念医院董事長を務めておられ、日本の大学や病院との間において、医療技術の向上を目的とした共同研究を促進されるなど、医療分野における日本・台湾間の技術協力の促進に寄与されています。また、新光金融持株会社董事長として日本企業との連携を強化されたり、財団法人台北市新光呉氏基金会董事長として日本文化の普及を支援されるなど、幅広い分野で日台の経済関係の強化・相互理解の促進に尽力されています。 

勲  章:旭日双光章

氏  名:李 英茂

主要経歴:翻訳家 元宜蘭県史館「日文宜蘭文献翻訳計画」責任者

功労概要:日本・台湾間の相互理解の促進に寄与 

功労詳細:李英茂氏は平成5年に「日文宜蘭文献翻訳計画」責任者として日本統治時代の日本語史料翻訳を通して,地方史における日本理解の促進に寄与されました。また初代宜蘭県庁を務めた西郷菊次郎の治世を讃える碑文の解読にも関わり,鹿児島県と宜蘭県の友好交流の契機となるなど,日台間の相互理解及び友好関係の促進に貢献されています。