富山県の立山町(たてやままち)にある壁の高さ10メートル以上もある雪の廊下「雪の大谷」は、その迫力と美しさで多くの観光客を惹きつけている。台湾でも大人気で、「雪の大谷」を知らない台湾人はいないと言われるほど人気が高いという。
立山町には黒部ダムもあり、立山黒部アルペンルート全線開通直後の4月中旬〜6月中旬にかけては、富山・台北便も増便されている。
その立山町と台湾・新竹市にある中華大学観光学院(観光学部に相当)が6月21日、インターンシップ(就業体験)に関する協定を締結し、舟橋貴之(ふなはし・たかゆき)町長と張馨文・観光学院長が中華大学で協定書に署名したという。
中日新聞は「町によると、県内の自治体が海外の大学とインターンシップに関する協定を結ぶのは初めて。町職員と同大の学生が昨年度、両地域を行き来するなどして交流したことを機に、関係を深めようと締結に至った」と報じている。
日台間では最近、このような企業や自治体が大学と提携する「産学連携」が徐々に定着しトレンドになってきているようです。
昨年は、JR四国と高雄の高苑科技大学(3月)、東京電力パワーグリッドと国立成功大学(6月)、静岡県のグラウンドワーク三島と国立雲林科技大(10月)、藤枝市と遠達国際企業(10月)、青森県と台日商務交流協進会、台北市進出口商業同業公会(12月)などが産学提携しています。
今年に入ってからもこの動きは活発で、スマートフォン広告事業を行う株式会社CyberZと世新大学(2月)、レストラン「明治の館」などを運営する日光総業と長栄大学(2月)、高千穂町の旅館「神仙」と静宜大学(4月)と続き、今回の立山町と華大学観光学院(6月)となっています。
これらの産学提携はニュースとして報じられたものを本誌でお伝えしたケースだけですので、他にもあるかと思いますが、いずれにしても日台の絆が次代をになう学生のインターンシップなどで深まってゆくことは歓迎すべきことかと思います。
中日新聞も「学生たちは、町内で開催される台湾フェアなどのイベントに参加したり、立山信仰のような地元文化も学んだりする」と伝えているように、インターンシップとして学ぶ約1カ月半、日本への理解も深めてゆくそうです。
台湾の大学と 立山町が協定
【中日新聞・富山版:2019年6月29日】
◆観光や人材確保 期待
立山町は、台湾北部・新竹市の中華大と観光振興や人材育成で連携する協定を締結した。7月から同大の学生が町内のホテルでインターンシップ(就業体験)を始める。学生にとっては海外での貴重な実習機会となり、町にとっては不足する夏山シーズンの人材確保につながる。
町によると、県内の自治体が海外の大学とインターンシップに関する協定を結ぶのは初めて。町職員と同大の学生が昨年度、両地域を行き来するなどして交流したことを機に、関係を深めようと締結に至った。舟橋貴之町長と同大の張馨文・観光学院長が21日、同大で協定書に署名した。
就業体験は7月11日〜8月25日の約1カ月半を予定。立山黒部アルペンルートにあるホテル立山が、観光を学ぶ3年生5人を受け入れる。学生たちは中国語と英語が堪能で、外国人旅行客への接客などが期待される。
学生たちは、町内で開催される台湾フェアなどのイベントに参加したり、立山信仰のような地元文化も学んだりする。
町商工観光課の担当者は「インターンシップを通じて立山で働くことも選択肢に入れば、宿泊産業の人手不足解消にもつながる。観光だけでなく、町で暮らすことのPRにもなる」と期待する。