去る8月27日、文部科学省は平成29年度(2017年度)の「高等学校等における国際交流等の状況について」を発表しました。これは、文部科学省が、高校生の海外留学生数や修学旅行先などの状況等を把握するため、昭和61年(1986年)から隔年で行っている調査で、今回で16回となります。
2017年度に修学旅行で外国を訪れた高校生は17万9,910 人(14,981 人増)で、実施校は延べ1,337 校、行先は34 ヵ国・地域だったそうです。
驚きました。日本から台湾への修学旅行生はなんと5万人を突破して5万3,603人、学校数も332校でダントツの1位で、2位アメリカの2万8,335人(208校)のほぼ倍となっていました。
2000年に中国への修学旅行が4万1,695人(213校)で、韓国への3万7,663人(241校)を抑えてトップに立ち、4万人超えを達成しました。それを台湾が凌駕し、おそらく5万人超えは日本の修学旅行史上初めてのことと思われます。
前回(2015年度)はアメリカがトップで、台湾は2位でした。下記に上位5位までを前回(2015年)調査を添えてご紹介します。
◆日本から海外への修学旅行(2017年度 ← 2015年度)
1位:台湾 5万3,603人(332校) ← 3万5,775人(232校)
2位:アメリカ 2万8,335人(208校) ← 3万8,453人(281校)
3位:シンガポール 2万7,015人(192校) ← 2万3,034人(167校)
4位:オーストラリア 2万2,028人(158校) ← 2万0,485人(154校)
5位:マレーシア 1万2,975人(97校) ← 1万3,945人(99校)
民間機関の公益財団法人全国修学旅行研究協会が同様の調査を実施していて、本年1月26日に発表の「公私立高等学校の海外修学旅行・海外研修」において、台湾へはすでに5万6,401人(458校)となっていて、2位アメリカの3万5,718人(615校)を大きく上回っていました。
公的機関である文部科学省の調査も同じような結果となることは当然予想されたことですが、このように具体的な数字を示されますと感激もひとしおです。
さらに嬉しいことは、台湾からの修学旅行も日本がダントツの1位だったことです。台湾からは2015年度も1位で、生徒数も学校数も確実に増えています。下記に上位5位までを前回(2015年)調査を添えてご紹介します。
◆海外から日本への修学旅行(2017年度 ← 2015年度)
1位:日本 1万3,392人(401校) ← 1万2,250人 (351校)
2位:韓国 5,774人(237校) ← 3,785人(150校)
3位:中国 4,127人(166校) ← 4,002人(160校)
4位:アメリカ 3,844人(265校) ← 2,164人(187校)
5位:オーストラリア 3,647人(215校) ← 3,143人(197校)
本会では日台交流を進めるため、自治体同士による姉妹都市提携や高校生の台湾修学旅行が最適と考え、平成22年(2010年)の総会において、本会の事業計画「日台相互交流の推進」に初めて修学旅行を掲げ「修学旅行や日台留学生などの相互受け入れ、自治体や議会などによる姉妹提携や親善交流をめざした活動の促進を図る」と定め、微力ながらもその推進に力を入れてきました。
最近も、長野県や熊本県から台湾へ修学旅行を担当する旅行代理店や関係者から、訪問先の選定などでご相談を受けています。
それにしても不思議なことです。こういう調査結果が公的機関から出てくるのはとても嬉しいのですが、文部科学省が「報道発表」しているにもかかわらず、なぜかニュースとして報じられていません。検索してみたのですが見当たりません。検索が足りないのかもしれませんが、全国修学旅行研究協会の調査は報じられているのに、文部科学省の調査は報道が見当たりません。日台の交流がいかに深化しているかを示すとてもいい調査だけに残念なことです。