日本と台湾は地震や台風など自然災害を受けやすく、それも地震、火山、気象、土砂など災害のタイプはほぼ共通している。
そこで、日台の都市間提携においても、静岡県の危機管理部と新北市、台北市、台南市、桃園県、基隆市、嘉義県の各消防局が2014年2月に「防災に関する相互応援協定」を結び、さらに2017年1月には台中市消防局、同年10月には高雄市消防局と同様の協定を結んでいる。2016年1月には、横浜市と台北市が「防災分野での協力覚書」を締結するなど、防災分野での協力関係の構築が進んでいる。
これもまた災害の一つというべき武漢肺炎(COVID-19)について世界保健機関(WHO)は3月11日、ついにパンデミック(世界的な大流行)だと表明したが、その前日の3月10日、日本の国立研究開発法人「防災科学技術研究所(防災科研)」と台湾の行政法人「国家災害防救科技中心」が「防災協力に関する5カ年協定」に署名した。
双方の機関は共に、災害に強い社会の実現を目指し、防災科学技術に関する基礎研究および基盤的研究開発を行い、防災科学技術の水準の向上を図ることをめざしていることで2007年から交流してきているそうで、さらに「地震、地滑り、洪水等に関する防災科学技術に関する交流を強化」する狙いだという。
武漢肺炎が蔓延し、心の晴れないニュースが続いていた中、日本と台湾がこのような防災協定を締結したことにホッとするものを覚える。日台間には揺るぎない絆のあることを改めて思い出させてくれる嬉しいニュースだ。下記に締結を伝える科技部の新聞資料と「台湾週報」の記事をご紹介したい。
◆科技部國家災害防救科技中心與日本文部省國立防災科技研究所簽署防災合作協議-防災科技交流,強化實質合作[3月11日:新聞資料]
国家災害防救科技中心、日本の防災科学技術研究所と5カ年協定
【台湾週報:2020年3月12日】
科技部(日本の文科省に類似)所管の行政法人国家災害防救科技中心(National Science and Technology Center for Disaster Reduction、略称NCDR)は10日、日本の文部科学省所管の国立研究開発法人防災科学技術研究所(National Research Institute for Earth Science and DisasterResilience、略称NIED)と防災協力に関する5カ年協定に署名した。双方はこれまでの協力経験をふまえ、今後も地震、地滑り、洪水等に関する防災科学技術に関する交流を強化し、同時に防災情報の応用についても経験を共有していく。
茨城県つくば市に本部を置く国立研究開発法人防災科学技術研究所は、日本各地に実験施設や観測施設を所有している。1963年の創立以来、防災科学技術に関する基礎研究、実験施設、研究部門などを次々に設立。地震、火山、洪水、崩落、異常気象など自然災害の研究に取り組み、防災科学技術の基礎研究の普及に力を入れている。同時に災害対策や災害に強い街づくりなどの分野でも研究を進めている。科技部所管の行政法人国家災害防救科技中心とは2007年以降、交流を展開している。
行政法人国家災害防救科技中心の陳宏宇主任はこの協定署名式で、「台湾と日本が直面する災害のタイプはほぼ同じだ。このため防災科学技術を発展し、政府や市民の防災・減災に協力する必要がある。台湾のNCDRと日本のNIEDは長年の交流があり、防災科学技術の経験共有で一定の成果を挙げてきた」と述べた。
これに対してNIEDの林春男理事長は、「NCDRはこれまで、防災研究の成果を確実に応用してきた。今後も協力を深め、防災情報や経験の共有及び交流を通し、分野を超えた防災協力を展開していきたい」と意気込みを見せた。