一青妙さん推薦!「石坂と祖父の繋がりは日台の信頼関係を現す一つの物語」

群馬県と台湾の縁は深い。沼田出身の新井耕吉郎(あらい・こうきちろう)は「台湾紅茶の父」として、前橋出身の羽鳥又男(はとり・またお)は「最後の台南市長」として、今でも台湾の人々から慕われている。芝山巌(しざんがん)事件で斃れた六士先生の一人、中島長吉(なかじま・ちょうきち)も安中の出だ。

本書が取り上げた石坂荘作(いしざか・そうさく)も群馬・東吾妻町に生まれ、台湾初の図書館「石坂文庫」を設立し、台湾初の夜間教育機関「基隆夜学校」や女子教育のための「和洋裁縫講習所」を開設するなど、その功績から「台湾図書館の父」「基隆聖人」と敬われた。

このような“知られざる石坂荘作”の事績を紹介し、基隆(キイルン)の人々に慕われたばかりでなく、台湾五大名家のひとつ基隆・顔家の理解も得、顔欽賢(がん・きんけん)とのつながりを掘り起こした労作。群馬地域学研究所叢書の第1巻。

手島仁(てしま・ひとし)
昭和34年(1959年)、群馬県前橋市生まれ。立命館大学文学部史学科卒業。群馬県立中央高校や吉井高校などの教職を経て、群馬県史編纂室主事、群馬県立歴史博物館学芸員に就く。この間、群馬県、沼田市、高崎市などの自治体史編纂に携わり、平成25年(2013年)より前橋市文化スポーツ観光部参事・前橋学センター長をつとめ、「群馬学」を提唱して地域学の振興を図る。令和2年(2020年)、前橋市役所を退職し、一般社団法人群馬地域学研究所を設立して代表理事に就任。
主な著書に『総選挙でみる群馬の近代史』『中島知久平と国政研究会』『群馬学とは』『楫取素彦と功徳碑』『羽鳥重郎・羽鳥又男読本』『手島仁の「群馬学講座」人物100話』『鋳金工芸家・森村酉三とその時代』『画家住谷磐根とその時代』など。日本李登輝友の会理事。

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【上毛新聞社出版部 発行:2020年5月24日 定価:1,650円(税込) A5判・並製・216頁】

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