台湾の経済部は2011年12月から「台日産業連携架け橋プロジェクト」を始動させ、翌年3月に「台日産業連携推進オフィス」(Taiwan-Japan Industrial Collaboration Promotion Office : TJPO)を開設。これまで高知県や大阪府、神戸市など日本の9自治体と産業協力覚書などを結んできたそうです。
一方、2024年末に生産開始をめざす、半導体受託製造の世界最大手TSMC(台湾積体電路製造)の新工場建設が急ピッチで進む熊本県菊陽町では、新工場で働く約1,700人が通勤の渋滞悪化を招かないよう交通量を分散させる交通網の整備を加速させているそうです。
TSMC本社の従業員は約320人で、従業員の家族約300人も台湾から移り住む予定だそうで、入学・転入に備えて日本語教師や中国語が話せる支援員の確保などの環境整備も進んでいるそうです。
このようなさ中の7月28日、台湾から王美花・経済部長が7日間の日程で日本を訪問、「日本経済団体連合会や半導体、電気自動車(EV)、第5世代移動通信システム(5G)などの関連企業を訪れ」「エネルギー事業を営むJERAや半導体用シリコンウエハーの製造・販売に携わるSUMCO、三井化学、NEC、パナソニックなどの責任者たちと会談した」(中央通信社)とのこと。
来日中の7月31日には東京都内で開かれたフォーラムに参加。これに合わせて、TSMCが進出している熊本県と台日産業連携推進オフィス(TJPO)が「産業連携に関する覚書」を結んだそうです。
これで台日産業連携推進オフィスが日本の自治体と締結した産業協力覚書は10件目だそうで、ますます日台の経済関係は強化されています。
ちなみに、TSMCは9月2日、2022年内に研究開発を担う拠点を大阪市に開くと発表しました。これは「日本で研究開発を担うTSMCデザインテクノロジージャパン(横浜市)の2カ所目の拠点となり、技術開発や顧客支援などを担う」(日本経済新聞)ことになるとのことで、半導体分野でも日台の結びつきはいっそう深くなりつつあります。
熊本県、台湾の経済機関と連携 TSMC進出で
【日本経済新聞:2022年8月31日】
熊本県と台日産業連携推進オフィス(TJPO)は31日、県と台湾との経済や産業の関係強化を目指して連携することで合意した。県内企業と台湾企業の取引の一段の加速や、経済交流のさらなる促進を目的としている。半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本進出に伴い、両者の連携が必要であると判断した。
両者は同日に東京都内で連携覚書を締結した。TJPOは、台湾の経済部(日本の経済産業省に相当)が設立した日台間の産業連携推進のためのサービス窓口機関。日台間の各分野の産業団体や企業間の連携やマッチングの支援、対台湾投資への相談業務などをしている。