やはり、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きを取り戻したからだと思われますが、日台の都市間提携が年初より動き出しています。
1月9日に熊本県益城町(ましきまち)と台中市大甲区が「友好交流協定」を締結したことをすでに伝えましたが、1月31日に今度は鹿児島県南さつま市が高雄市旗津区と「友好交流協議」を締結しました。
南さつま市は東シナ海に面し、日本三大砂丘と呼ばれる吹上浜があり、ほぼ毎年、砂のイベント「吹上浜砂の祭典」が開かれ、高雄市旗津区も台湾海峡に面し、砂の彫刻の祭典「旗津黒沙玩芸節」を開催しているという共通点が提携をもたらしたそうです。
調印式には本坊輝雄・市長と羅長安・区長が臨み、台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処が立ち会ったそうです。心から祝意を表し、下記に中央通訊社の中文記事と日文記事をご紹介します。
これで、日台間の都市間提携は1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」提携から114件目(本会調査)となります。
なお、旗津区には元台湾人日本兵を弔う「戦争と和平記念公園」があります。広大な園内には「主題館」と呼ばれる展示館があり、ソ連軍抑留経験を持つ本会理事の呉正男氏が寄贈したものも展示され、また「台湾無名戦士記念碑」や「台湾歴代戦没将士英霊記念碑」などが建立されています。
この公園は、本会とも交流のあった故許昭栄氏の尽力により、2009年5月20日に開かれました。旗津を訪れる機会がありましたら、ぜひ立ち寄ってみてください。
それにしても、昨年10月27日に熊本県南阿蘇村と屏東県東港鎮が「国際交流促進覚書」を結んで以降、11月2日の大分県玖珠町と彰化市の「友好交流協定」、同日の長崎県東彼杵町と台中市和平区の「友好関係を促進する意向書」、今年1月9日の熊本県益城町と台中市大甲区の「友好交流協定」と続き、またもや九州の南さつま市が高雄市旗津区と「友好交流協議」を結び、5件続けて九州の自治体が台湾との都市間提携を結び、これまでに例のない珍しい事態となっています。これもTSMCの熊本進出効果なのでしょうか。
◆同享少見黒沙灘 高雄旗津與鹿兒島南薩摩市締盟[中央通迅社:2月1日]
◆片倉佳史「台湾人元日本兵」を弔う公園を訪ねる[nippon.com:2018年6月30日]
南さつま市、高雄・旗津区と友好交流協議締結=砂丘が縁で
【中央通信社:2023年2月2日】
鹿児島県南さつま市と南部・高雄市旗津区公所(役所)は1月31日、友好交流協議を締結した。共に海に面し、砂丘を有している共通点があることから締結につながった。高雄市によれば、観光や文化、教育の分野で協力を拡大していくという。
高雄市が1日、報道資料で明らかにした。南さつま市からは本坊輝雄市長をはじめ、観光担当職員らが訪台。31日午前に高雄市観光局を訪問した後、同昼に旗津区に到着した。調印式では本坊市長と羅長安旗津区長が協議書に署名し、外交部(外務省)駐福岡弁事処がオンラインで立ち会った。
共に砂浜を有する南さつま市と旗津区。南さつま市は「吹上浜砂の祭典」を、旗津区も同様に砂の彫刻の祭典「旗津黒沙玩芸節」を開催している。
羅区長はあいさつで、友好交流都市の締結は光栄だと話し、観光や学校間などの相互訪問促進に期待を寄せた。
本坊市長は、今回の締結を後押しした駐福岡弁事処に謝意を述べ、今後双方の観光や文化、学校など各分野での交流がさらに深まっていくことだろうと語った。