新型コロナウイルスの感染が収まり、日本と台湾の交流は定期便やチャーター便が復活したり新たに増便するなど、急速にコロナ前の状況に復しつつあります。足が確保されればおのずと都市間交流などが盛んになります。

それを、半導体の受託生産では世界最大手を誇る台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が熊本県菊陽町に工場を建設していることや、やはり受託生産大手の台湾のPSMC(力晶積成電子製造)が工場の建設地に宮城県で唯一の村である大衡村(おおひら)を選定したことなどが後押ししているようです。

10月31日、愛媛県は10月5日、嘉義市と野球を切り口としたスポーツ・文化・観光面の交流を促進する覚書を締結したことを発表しました。

愛媛県によれば、双方が連携・協力するのはスポーツ・文化・観光の3分野だそうで、中村時弘知事と黄敏慧市長が調印したと、下記の覚書を発表しました。

・愛媛県と嘉義市とのスポーツ・文化・観光交流に関する覚書(PDF:79KB)

愛媛県といえば、愛媛県松山市出身の嘉義農林学校野球部の近藤兵太郎(こんどう・ひょうたろう)監督が同校を甲子園で準優勝に導き、それが、台湾で魏徳聖監督によって「KANO~1931海の向こうの甲子園」として映画化されて大ヒットしたことを思い出す人も多いのではないかと思います。

嘉義市には、嘉義県にあった日本時代の木造建築28棟を移築した文化区「檜意森活村」に、映画の撮影に使った近藤監督の家の内部を再現し、数々の関係品を展示するた「KANO故事館」も2014年8月3日にオープンしています。この「交流促進覚書」も、近藤監督のご縁で結ばれたそうです。

愛媛県と嘉義市の「交流促進覚書」は、9月20日に結ばれた山形県新庄市と南投県草屯鎮の「国際友好交流協定」に続く都市間提携で、今年16件目となります。年間21件だった2017年に迫る勢いです。

日台間の都市間提携は、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結以来、愛媛県と嘉義市の「交流促進覚書」で128件(本会調査)となっています。

なお、茨城県那珂(なか)市の先崎光(まっさき・ひかる)市長は去る10月30日に台南市を表敬訪問、来年の「台南400」に合わせて同市と「交流及び友好都市協定」を結ぶ詳細について話し合い、熊本県小国(おぐに)町の渡邉誠次(わたなべ・せいじ)町長も、台北市士林区と「友好都市」締結を協議していることを明らかにしています。

また、埼玉県本庄市も台南市と都市間提携を結ぼうと、吉田信解(よしだ・しんげ)市長が10月4日に台南市を訪問しました。

さらに、大阪・岸和田市の永野耕平(ながの・こうへい)市長も、今年3月3日の岸和田市議会定例会において発表した「令和5年度施政方針」の中で「民間レベルでの産業分野における連携・友好交流を促進するため、岸和田商工会議所と連携して、本市と台湾嘉義市との間で産業交流にかかる覚書を締結します」と表明しています。

今年中にあと何件の都市間提携が結ばれるのだろうとワクワクしていますが、まさに日台は「黄金期」を迎えているといって過言ではないようです。