2月26日、超党派の国会議員でつくる「日華議員懇談会」は、5月から戸籍の国籍・地域欄に「台湾」と記載できるようになることを受け、2022年11月に部内に設けた「戸籍における国名表記問題に関するプロジェクトチーム」(略称:戸籍PT)の会合を開催した。

会合には、古屋圭司・会長や木原稔・事務局長、滝波宏文・戸籍PT座長、各党から選出された常任委員の他、法務省や外務省の担当者、台北駐日経済文化代表処の蔡明耀副代表、戸籍問題当事者などが出席。

長年、この戸籍問題の解決に取り組んできた日本李登輝友の会も招かれ、梅原克彦、趙中正の両副会長、王明理、藤重太の両常務理事、中里憲文・理事、柚原正敬事務局長が出席した。

会合では、古屋会長が台北経済文化代表処の李逸洋代表から電話で謝意を伝えられたことを明らかにするとともに、滝波・戸籍PT座長が中国の妨害をさけるためにローキー(密かに)で法務省などと折衝してきたことを説明した。

招待された蔡明耀・副代表は挨拶で「きょうはとても嬉しい一日」と切り出し、「日華議員懇談会の皆様のご尽力により在日台湾人の一つの悲願が叶った」と謝意を表した。また「このことは台湾海峡の平和と安定にもつながる」とその意義を強調した。

本会の渡辺利夫会長は所用で出席できなかったことから、梅原克彦・副代表が「感謝のメッセージ」を代読した。下記にご紹介したい。

会合では出席者から、弁護士や医師、歯科医師、栄養士、小型モーターボートなどの免許証の国籍表示にも関わることになるので、関係省庁への対応はどうなるのかの質問や、訂正した記録は戸籍に残されるのか、亡くなった台湾人の戸籍は直せるのか、出生地の表記はどうなるのかなどの質問も出て、法務省側が詳しく応答した。

これらの質疑応答から、事後対応や周知などの問題が残されていることが判明したこともあり、滝波・戸籍PT座長から戸籍PTは今後も続けて活動することが伝えられた。


感謝のメッセージ

日本李登輝友の会の会長をつとめる渡辺利夫でございます。

このたび、法務省は省令を発し、戸籍における国籍欄を「国籍・地域」欄に改め、台湾出身者を「中国」から「台湾」と表記するという朗報に接しました。14年余にわたってこの改正問題に取り組んでまいりました私どもにとっては、快哉を繰り返し叫びたくなる、まさしく朗報でありました。

これ偏に日台交流を牽引されてきた日華議員懇談会の古屋圭司会長並びに日華懇内に設けた「戸籍における国名表記問題に関するプロジェクトチーム」座長の滝波宏文先生たちのご尽力によって実現した快事です。心より感謝申し上げます。

日本李登輝友の会は設立翌年の平成15年(2003年)から、日本における台湾正名運動の一環として、在日台湾人の外国人登録証明書(外登証)における国籍表記を「中国」から「台湾」に改めることを求めて活動しておりました。

6年後の平成21年(2009年)7月に「出入国管理及び難民認定法改正案」が可決されました。この法改正により、3年後の平成24年7月に「外登証」が廃止され、新たに発行された「在留カード」に「国籍・地域欄」が設けられ、台湾出身者は「中国」から「台湾」と記されるようになりました。

この外登証問題が解決されましたので、戸籍でも台湾出身者の国籍が「中国」と記されていたことから、私どもは翌年の2010年9月から懸案だった戸籍問題の解決に取り組みました。

ことは台湾人の人権や尊厳にかかわる問題であります。また、日本で事故死した家族を台湾で埋葬しようとすると、日本で発行した戸籍謄本と死亡届の記載事項証明書に死者の国籍が「中国」となっていたため埋葬できず、もう一度日本へ行って書類訂正の再申請を行うなど多くの実害が出ておりました。

そして、何より台湾出身者を「中国」国籍と記すことは、中国が主張する「一つの中国」を日本が承認している証だとみなされかねない懼れがあることでした。

今回の戸籍の国籍表記改正について、台湾政府の林佳龍・外交部長は「日本各界が長年来行ってきたさまざまな努力にとりわけ感謝する」と表明し、在日台湾人でつくる全日本台湾連合会も「この朗報に接し、感無量、心震える思いです」と「感謝の声明文」を発表し、官民こぞって喜んでおります。

日本と台湾の国益に資する、新たな日台交流の道を切り拓かれましたことに改めて感謝の意を表します。ありがとうございました。

  令和7年2月26日

                             日本李登輝友の会 会長 渡辺 利夫