法務省が5月施行を予定して進めている「戸籍法施行規則の一部を改正する省令」で、台湾出身者は戸籍に「台湾」と表記することが可能になることを受け、全国の市町村長でつくる「日台共栄首長連盟」の宮元陸会長は、祝意を表する「戸籍において台湾出身者を『台湾』とする省令改正を祝す」を発表した。

日台共栄首長連盟は「日本と台湾の関係を、従来の経済文化面での交流促進にとどまらず、法整備の面さらには政治、安全保障面において更に強固にするべき」として、「日台交流基本法の早期制定」を求め、2021年12月に設立された。

2023年1月には、台湾から転入した場合、住民票の前住所の欄に「台湾」と表記することができるにもかかわらず、一部の自治体では従前地が台湾だった市民本人が「台湾」と表記するよう求めても「中華人民共和国」と記載するなど、担当職員にこの認識が徹底されていないことに鑑み、都道府県の市長会と町村会に「平成24年の改正入管法施行により、基礎自治体発行の住民票等に『台湾』と表記できることについて、各自治体首長および担当職員の皆さまへ、改めて認識の共有と徹底」を啓蒙する文書を出している。

また、2023年6月には首相官邸において、岸田文雄総理に「日本と台湾との一層の関係強化および中国による覇権的行動に対して一層の毅然とした対応を求める要請書」を手渡すなど、活発に活動している。

現在、会員は144人を擁し、役員は下記の布陣となっている。

会長
宮元  陸 加賀市長  (石川県)
副会長
野田 義和 東大阪市長 (大阪府)
萩原 誠司 美作市長  (岡山県)
幹事長
吉田 信解 本庄市長  (埼玉県)
副幹事長
中山 義隆 石垣市長  (沖縄県)
幹事
加藤 剛士 名寄市長  (北海道)
白岩 孝夫 南陽市長  (山形県)
山口 伸樹 笠間市長  (茨城県)
高橋 勝浩 稲城市長  (東京都)
中村 義明 小谷村長  (長野県)
岡部 克仁 南伊豆町長 (静岡県)
車谷 重高 天川村長  (奈良県)
大城 一郎 八幡浜市長 (愛媛県)
後藤 元秀 豊前市長  (福岡県)
黒田 成彦 平戸市長  (長崎県)
糸数 健一 与那国町長 (沖縄県)
監事
鈴木 和夫 白河市長  (福島県)
片岡 聡一 総社市長  (岡山県)
顧問
松浦 正人 第29代全国市長会会長、前防府市長 (山口県)


戸籍において台湾出身者を「台湾」とする省令改正を祝す

このたび、法務省が5月に「戸籍法施行規則の一部を改正する省令」を発し、戸籍における国籍欄を「国籍・地域」欄に改め、台湾出身者を「中国」から「台湾」に改めて表記する、という朗報に接しました。

これまで台湾出身者は、法務省が昭和39年6月に出した民事局長通達により、日本人と結婚したり日本に帰化する場合、また日本人の養子となる場合、戸籍の国籍を「中国」とされ、出生地も「中国台湾省」と表記されてきました。

日本人と台湾人が結婚し、私ども基礎自治体の窓口で戸籍を作成しますが、新しい戸籍を希望する方々が国籍を「台湾」と書いても、自治体窓口は法務省からの受託事務となっているため「中国」と書かなければならず、ご本人たちの意に反し「中国」と書き直していただいて受け付けておりました。新しい門出に水を差すようで、心苦しく思っていた首長も少なからずいたのではないかと思います。

しかし、台湾との文化交流を続ける日本李登輝友の会や在日台湾人の方々による10年以上に及ぶ署名活動や国会議員への働きかけが奏功し、このたびの省令改正になったと聞き及んでおります。

ことは台湾人の人権にかかわる問題であり、台湾出身者を「中国」国籍と記すことは、中国を利することにもなりかねない安全保障上の問題も含んでいました。

今回の戸籍の国籍表記改正について、台湾政府も感謝の意を表明し、在日台湾人でつくる全日本台湾連合会も「我々台湾人の尊厳と名誉が正しく認識される道が開かれたことに、心から感謝申し上げます」と発表し、官民こぞって喜んでおります。

私どもは「設立趣意書」に「我々は自由・民主主義・法の支配・人権という普遍的価値観を共有する日本と台湾の関係を、従来の経済文化面での交流促進にとどまらず、法整備の面さらには政治、安全保障面において更に強固にするべき」と謳っております。

台湾を重要なパートナーとする日本が、戸籍において台湾出身者を「台湾」とする今般の省令改正は日台関係をさらに深化させることになります。心から祝意を表し、鈴木馨祐法務大臣はじめ関係各位に感謝申し上げます。

 令和7年2月26日

                                   日台共栄首長連盟
会長 宮元 陸